ズレてこそ見える物があり、考え方は変わる

・・・ある意味当然と言えば当然ではあるだろう。親である小五郎を除けば一番身近にいる存在はコナンとして活動している新一であって、その様子は普段からよく見るようになっているのだ。そんな物だから蘭がどんな様子なのは見ているし話もしているから分かるのは当然という話もだが、会えない時間が多くて電話だけじゃ寂しいといった気持ちにならないのもまた当然と言えた。新一からすればいつも会っている存在なのだから会えないことにもどかしいなんて想いを抱かないのは。

ただもしこれが本当に新一がずっと距離を離さなければならないように事件を追い続けていた上で元の体だったなら、新一は自分は平気だというように振る舞いつつも今より断然に蘭の元に顔を見せに行っていたことだろう。新一は否定するだろうが蘭程ではないにしても好きな相手とずっと声も交わさず顔を合わせずでいられる程、割り切った考え方が出来るようなタイプではない。

だが今の状況は新一目線から見れば蘭とはいつでも会えているような物だからこそ、蘭と会えないことに辛さだったり離れ離れになっているなんて実感など一切ないのだが・・・蘭はそんな新一が自分に会わないことや離れ離れになっている事に陰を一切感じない態度に、疑問やズレを感じるようになっていったのである。新一は自分と会わなくて平気なのかと。

しかし新一はそんな蘭の心中を探偵らしく推し量ることもだが誰かからそれを知ることも出来ず、解決の為に動くことが出来なかった・・・蘭は園子の言葉から小五郎やコナン君には言わない方がいいと言われたことをキッチリ守った上で一人になった時に色々考えてるし、園子も園子でいつにない真剣な問題だからこそ茶化すことも誰にも言い触らすこともなく蘭以外とはその話をしていないのだから、周りに漏れようがないのだ。

だから新一がやれることがあるとするならコナンとしての立場も含めて探偵として蘭の様子を見て心中を推し量るか話し掛けて揺さぶることくらいしかないのだが、そこに関しては蘭が表向きに態度がガラリと変わるような変化がなかったと見られた事で新一としては異常無しと判断してしまったのだ・・・蘭が時間があるんだからじっくり考えればいいとなったことで、下手に新一関連の事で焦った結論なんて出さなくてもいいんだと余裕を持ったことで、前なら出ていた変化がないから問題ないと見たことでだ・・・

















・・・そんな風に蘭は自身の変化を感じ、新一は蘭の変化に気付かないままに時間は進むのだが、そうしていけばいく程に蘭の気持ちは新一から次第に離れていって修学旅行に共に行ったのだが・・・その時にも事件が起こったこともあいまり、以前のままの蘭だったならいい機会だというように新一の頬にキスをしていた場面で何もせずに終わらせた。

これはたまに新一がコナンの体から元に戻って蘭の前に現れる事があったのだが、そのことごとくでタイミングを狙い済ましたように百発百中で事件が起きたことにあった。その事に蘭としてはいかがな物かといった考えになっていき、その頃には新一へ一途に想いを向けると宣誓するためのキスをしてもいいと思えるだけの踏ん切りをつける気持ちが薄れてしまっていたのである。

ただその修学旅行では完全に新一に対する気持ちが失われた訳ではなく、その後の時間をまたしばらく過ごしていくことになるが・・・そうしていると新一がいきなりテレビの記者会見に出て、とある犯罪組織の壊滅に関してを発表し出すのを蘭は見ることになった。









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