隣の芝が青いことの意味

「・・・もう今更だろう、その事は。と言うよりは毛利さんは十分に父親としての役割を果たしている。だが蘭はだらしない部分の毛利さんの姿ばかりを印象深く見てるから、そういった姿を見せずに受け入れてくれる妃弁護士の方にいけばそんな事に煩うようなことはなくなる・・・その為のきっかけを俺は作っただけだ。蘭もそうだが妃弁護士にも色々と考えてもらうためにな」
「そうだな・・・俺もそう考えたからお前の案に賛成したんだったな」
そんなカミーユを励ますように微笑を浮かべるルルーシュに同じように微笑で返すカミーユだが、その中身が蘭達にとって多少辛辣気味だったことにつっこめる者は周りに誰もいなかったことからいるわけがなかった。






・・・隣の芝生は青いとルルーシュは例えに出したが、二人からすれば小五郎こそが父親として羨ましく見える青い芝生であった。自分達の親と比べてみることすらおこがましいと思えるほどに、青々としている立派な芝生だと。

だが蘭はそんな小五郎より英理が立派な芝生だと見ている・・・確かに酒が好きだったり綺麗な女性を見たら鼻を伸ばしたりといった様子を見せる小五郎だが、それも日常生活における息抜きの要素の一つだと二人は理解しているしむしろ好ましいとも思っている。人間らしい部分があり、親しみやすい人だと。

しかし普段身の回りを世話しているからか、女性としてそういっただらしない部分など見たくないからなのかはともかくとして、蘭はそう言った小五郎の部分を好ましいとは思わなかった。英理がいかに外から見てカッコいい人物なのか、そういった対比の部分もあっただろうからこそだろう。

ならばいっそ英理の元に行けばいいし、そこで居心地がいいと感じたならもう小五郎の元にいるより英理の所にいることを選べばいい・・・そう思ってこそのルルーシュの案だったが、小五郎が思いの外乗ると言うか真剣になったことが二人にとっても意外であったし、それだけ親として感じざるを得ない状態だったのだとも感じた。

そしてだからこそ二人は思う・・・小五郎が蘭に対してここまで思ってきたのだから、英理にも大なり小なり蘭と暮らしていってもらいどうするのかを決めてもらおうと・・・そして英理に小五郎に対する気持ちがまだあるなら、自分からどうするかを決めてもらおうと・・・
























・・・そのようにして蘭が小五郎の元から離れて英理の元で暮らすようになったのだが、色々と細かい動きがあって期限の半年が過ぎた時に蘭から出てきた結論は・・・ルルーシュ達の予想通り、英理の元でこれからも暮らすとの物だった。

そしてその際に英理からの言付けの手紙を預かってきたと蘭から小五郎に手渡されたのだが、その中身については小五郎は二人には言おうとはしなかったが・・・空元気を出して誤魔化そうとしていたが、何処と無く重い空気を滲ませていたことから離婚について何らかの言葉なりなんなりが添えられていた事は容易に想像がついた。

その上で帝丹高校に通う蘭の様子を確認してきた二人だが、最初こそはあまり機嫌が良くなかった蘭が次第に・・・というかある一定の時期から自然でいて、気持ちの良さそうな笑顔を浮かべ出したのを二人は確認していた。その姿から何が起きたのかまでは正確には分からないものの、少なくとも英理との間で話し合って出た結論で小五郎に対する気持ちが吹っ切れるなりなんなりがあったのだろうと推測した。

・・・女は男と違い吹っ切ると後に引きずらないと言うが、小五郎は確かに少しの間引きずりはした。だがそのケアの為、二人が奔走したことから小五郎は少ない時間でいつもの調子を取り戻した。

そしてこの出来事により、新一を始めとした人々の未来が大幅に変わることになるのだが・・・その話は関係無いので、省略となる。新一により大きな事件に巻き込まれそうになった小五郎の危険をカミーユが察知して、ルルーシュが新一を理屈に罠攻めをして追い返すという話は・・・









END









.
13/14ページ
スキ