ズレてこそ見える物があり、考え方は変わる

「でしょ?それに蘭からしたらそのズレとかについて早くどうにかしたいって思うかもしれないけれど、それに関してはそもそも新一君が戻ってこないと結局モヤモヤしたまんまになると思うの。あのガキンチョが新一君なら大丈夫みたいな事を言ってそれを信じるみたいな考えを持っても、長い間帰ってこないならまた信じるかどうかみたいな気持ちになるだろうってね」
「う・・・た、確かに・・・」
「だからそういったこともあるから、おじ様はまだしもあのガキンチョに何も言わない方がいいって私は言いたいの。新一君がいついつまでに戻るしその時には蘭に告白もするし、寂しい思いをさせないってちゃんと宣言して行動する・・・みたいな風にしてくれるならまだともかく、そんな事言わないどころかいつに帰るかも分からないし連絡も向こうが気が向かないとしてくれないような状況なんだから、その間は私が話を聞いたりするし時間も結構かかるだろうからその間はズレの事についてゆっくり考えるべきだってね」
「・・・うん、そうね。今の状況で急いでこうするって決めても新一がそれで帰ってくるなんて事はないんだし、お父さんやコナン君達に言ってもそうなるんなら新一が帰ってくるまで考えてみることにするけど、ありがとう園子。そこまで私の事を考えてくれて」
更にいかにこうした方がいいかを話していく園子に蘭もそうすると微笑を浮かべつつ礼を言うのだが、そこで園子はなんとも言いがたげな表情に変わる。
「ん~・・・蘭の事を考えてない訳じゃないけど、私も私でそのズレの事を聞いてただ蘭達の事を見守るだけでいいのかなって思ったのよ。新一君が何処かに行ってから結構時間が経ったのとその話があって、前みたいに軽く茶化すだとか大丈夫なんて言って終わらせていいものじゃないんじゃないのかってね」
「っ・・・そこまで園子は思ったんだ・・・」
そのまま園子はいかに自分が感じたのかを難しそうに語る様子に、改めて蘭も複雑さを滲ませた・・・基本的に蘭と新一の間柄に関して軽く、それでいていずれ夫婦になると確信めいて接していた園子がそこまで言うということがどれだけ重いことなのかを感じて。
「そうよ。だから蘭・・・私が言いたいのはこの問題と蘭は真剣に向き合うべきということなの。蘭がこの問題について複雑な事を思ってるのは分かるし、今はそんなこと考えたくないと思うかもしれない・・・でもその事を考えないまま新一君が戻ってきたら、蘭はズレの事から目を反らそうとしてもそのズレのせいで色々と辛い想いをする可能性の方が高いと思うの。だから新一君が戻ってからそのズレを承知で付き合うにしても、何か別の結論を出すにしても考えることは必要だと思う・・・だから考えるのよ、蘭。そのズレのことを含めての新一君との事を」
「・・・分かったわ、園子。真剣に考えていくわ」
だからこそ茶化すような響きなど一切なくまっすぐにちゃんと考えるようにと述べていく園子の声に、蘭も真剣に頷いて返した。ここまで言ってくれた友達の為にもちゃんと考えると。


















・・・そうして園子との話をしたことで気持ちやら考えやらに整理をつけることが出来た蘭は学校が終わり、家に帰ってから小五郎とコナンに心配されるようなことは無かった。園子とちゃんと話していなかったなら確実に二人から何かあったのかと追及されていただろうことを蘭自身感じつつだ。

ただそうして自身の気持ちが落ち着いた事はよしとしても、時折園子と話をしたりしながらも新一とのズレについて考えていく蘭は、その考えを深めれば深める程に新一が戻ってきた時に前に思ってたような恋人になりたいといった願望はおろか、前のように交流したいという気持ちすら薄まっている事を自覚していた・・・色々と考えていけば行く程、もし新一が戻ってきたとしてもまた事件があれば躊躇うことなく飛び込んでいくと共に、自分の事を置いていくだとか待たせるといった事をしていくだろう光景が目に浮かび、そんな新一にずっと付き合いたいなんて気持ちは浮かばないとなったからだ。

だがそれでも長年抱いてきた恋心があるから完全に新一に対しての気持ちは切れず、だからこそ蘭は園子以外には見せない形で思い悩んでいくのだが・・・そうしていく内に蘭は荒唐無稽な話ながら、とある想像をするようになった。それはコナンは実は新一が小さくなった姿なのではないか、ということだ。









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