ズレてこそ見える物があり、考え方は変わる

「ん~・・・今の話を聞いた感じだと嬢ちゃんとその新一君には大きなズレがあると思うんだよね~」
「え・・・またズレがあるって言うんですか?」
「そうそう。まぁこれに関しちゃ新一君もそうだけど、嬢ちゃんにもいくらか責任って言うとちょっと違うかもだけど・・・嬢ちゃんが新一君を待ってるから今の状態になってるって感じがすんのよ。この問題の大元ってヤツがさ」
「っ・・・私が、新一を待ってるから・・・!?」
それで男は少し考え込むような様子で声を漏らした後、蘭が待ってるからではと口にした事に衝撃を受けたように恐る恐るおうむ返しをする。
「これは俺の見立てなんだけれど、新一君としちゃ嬢ちゃんに悪からずな気持ちがあるのは確かではあるとは思うよ。実際に恋愛的な気持ちがあっても不思議じゃないとはね・・・そういった事を前提にして嬢ちゃんの今の話を踏まえて言わせてもらうと、君が新一君を少なく見ても悪くない気持ちから待ってるってのも分かるから新一君は甘えてるんだって思うのよ。嬢ちゃんが俺を待っててくれるんだから待っててもらって、その事件ってヤツが解決したら嬢ちゃんの元に帰ればいいってね」
「っ・・・だから新一はそれまで私を待たせる事にしたって言うんですか・・・?」
「新一君とやらからしたら出来る限り早く帰れるようにするとか、この事件は完全に解決しないと他の人達も苦しむ事になるからみたいな言い分はあるとは思うよ?ただね・・・」



「嬢ちゃんが新一君が帰るまで辛くても待つって風な姿勢でいるから、新一君はそれを理解した上で待たせる事を選んだってことなんじゃって思うのさ。嬢ちゃんが早く帰ってきてほしいって気持ち云々を抱いてるかどうかを分かってるかまでは知らないけれど、待っててくれるんだから待っててもらおうって嬢ちゃんの気持ちを後回しにすることを選ぶ形でだ」



「っ!?」
・・・その上で男が語った待つことが新一の甘えと待たせるという判断を選ばせたのではとの言葉に、蘭は途端に蒼白の顔色になって絶句するしかなかった。男の言葉が正しかったら新一は自分が待ってるからそれに甘えてて、その結果が今の状況なんだということに。
「辛いことを聞かせちゃったかな?ただ嬢ちゃんと新一君のズレはそういった部分・・・待つ側と待たせる側の立場だったり気持ちなんかの差があると俺は思うってことさ。少なくとも嬢ちゃんは今の話でそんな感じの事を感じたんじゃない?」
「そ・・・それは・・・」
「・・・何か動揺覚めやらぬって様子だから、もう話はここら辺にして俺は帰るよ。あんまり部外者の俺が色々言い過ぎても良くないだろうし、色々と嬢ちゃんも落ち着いて考えたいだろうしね」
「っ・・・!」
男はそんな蘭に優しげな声で話を続けるがもう止めた方がいいかと帰ると途端で切り上げて立ち上がるのだが、言葉通り動揺覚めやらぬ蘭は男を止めるだとか見送るなんて言葉も出てこずただ愕然としたような様子で止まるしかなかった。男の言葉を否定する事が出来ないどころか、今までの話からそうである可能性の方が高いのではと思ったからこそ・・・



















・・・そうして蘭は男が去った後に寝る前も起きてからもしばらくの時間を悩んだ。男からの言葉はあまりにも蘭からして衝撃をもたらすと共に、考えれば考える程に否定出来ないと感じてしまったのだ。蘭と新一のズレが男の言ったような物ではないかということを。

そんな風に考えながら学校に行くのだが、道中で友達の園子と出会い何か悩んでるのかと顔を見て即行で言われた事で蘭は男から言われたことを話していった。一人で抱えてもどうしようもない問題であることから、園子にも聞いてもらいたいと。









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