ズレてこそ見える物があり、考え方は変わる

ならどうしてズレという名のしこりが大きくなっていったのかと言えば、新一と直接会えない上に電話越しに話をするのも新一の都合一つだけでしか行えないということからだった。新一の言い分としてはとある事件を追ってて、会いに来るのもだが電話をする時間もとても長くは取れないということでだ。

この事に蘭は新一と直に会えない寂しさだったりは勿論感じてはいたが、前なら事件を追うという姿勢を新一らしいなというような気持ちを抱いていただろうと思っていたが・・・新一と自分のズレがあることとそのズレがどんどんと大きな物になっている事を感じたのである。事件を解決することが大事じゃないとは言わないけれど、そんなに長い間学校を休んだり自分達の元に顔を見せないままに事件の方が大事だなんて風に活動するのはどうなんだろうという事もだが・・・このままそんな新一を好きでいられるのかというように考える形で。

ただそんな風に確かなズレを感じながらも時間は進んでいくのだが、とある事件で蘭は久しぶりに西の高校生探偵と呼ばれる服部をきっかけとして新一と直に会うことが出来た・・・のだが、その事自体に喜びはした。だがその後すぐに新一が姿を消していったことにモヤモヤする気持ちを抱く事になった。






「・・・あれ?貴方は・・・」
「んははっ!久しぶり!お父さんに会って飲んでたら次はウチで飲もうぜって言われたから来ちゃった!」
「そうなんですかって、お父さん寝ちゃってる・・・」
・・・そんなモヤモヤを抱えたまま後日になるのだが、コナンが博士の元に泊まると連絡をしてきた日の夜。
家に帰ってきた蘭は居間で小五郎とサシ飲みをしていた男が誰かに気付き、男が缶ビール片手に陽気に返すのだが小五郎がテーブルに突っ伏しながら寝てるのを見て呆れたよう首を横に振る。
「まぁいい頃合いだし、俺はそろそろ帰るよ!嬢ちゃんも嫌でしょ?このまま俺まで酔い潰れて酔っ払い二人の面倒を見るのなんて!」
「っ・・・あの、すみません。ちょっとだけ私の話を聞いてもらっていいですか・・・?」
「ん?何?オッサンに話してみなよ!」
(・・・聞きたい・・・この人の言葉から前と違う考え方が出来るようになったからこそ、この人がこの前の新一の事を知ったらどういう風に思うのかを・・・)
そんな様子に男は陽気に笑いながら帰ると言い出すが蘭が咄嗟に男を引き留める。前に男から言われたことがあるからこそ以前の自分と違う考え方を出来るようになったと思うから、今の自分の気持ちを解決する言葉がまた欲しいと・・・


















・・・そうして蘭は一通り前に会った時から感じていたことに考えていたこと、そしてこの前に新一と会った時の事を話し終えた。



「ふんふん・・・それでそういった話をして、嬢ちゃんはオッサンに何を聞きたいの?」
「・・・この前新一と久しぶりに会えたことは嬉しかったりした部分もあったんです。けどその中でもそうですけど、後になればなる程そんな新一の様子を思い出していってモヤモヤする気持ちになったんです・・・新一は私の声から探偵だから元気かどうかくらい分かるっていうように言ったんですけど、だったらもう事件の事は他の人に任せて元のように一緒に学校に行ったりとか普通に生活しようって言いたい私の気持ちも分かるんじゃないのって、そう思ったんです・・・でもそう言いたくても新一はまたどこかに行っちゃって、話すことが出来なくなって・・・」
「それで嬢ちゃんは悩んでるってこと?分かっちゃいるみたいに言ったけど、結局新一君は嬢ちゃんのこと何にも分かっちゃいないんじゃないかって」
「・・・そういうことです・・・」
・・・そうして小五郎の隣で膝立ちになりながら話をしていった蘭は、時折缶ビールを口に運びつつ話を聞いていた男に話をし終わりガクリと頭を下げる。自身の中で抱えていた重荷を吐き出したことにより。









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