隣の芝が青いことの意味

・・・小五郎にはあぁいったような事を言ったが二人・・・特にルルーシュは小五郎と英理が元に戻り、蘭と三人で幸せに暮らすといったような絵など想像は出来なかった。もし戻れたとしても、それこそルルーシュが言ったように小五郎の立場が相当に弱い物である状況で、とても小五郎と英理達が対等な関係と呼べる物ではないだろうと。

そしてそうなればそれこそ小五郎が我慢なんて出来るような状況でなくなるのは目に見えている。小五郎とて人間であるし、不平不満を溜まらせず生きるなど不可能だ。そうなればすぐに二人と対立の形になり、また別居という流れになっても何らおかしくはない。その時の言い分のどちらが正しかろうがだ。

ただそこで蘭が小五郎達をうまく仲裁出来るかと言われれば、それこそ無理だと二人は見ている。基本的に英理の方に心情や性格が近い蘭は中立と言った考えになるなど無理というか、まず間違いなく英理の方に寄ったような事を口にする。そして状況が好転しないどころか、悪化するようになるのだ。

だからこそルルーシュは蘭を英理の元に行かせるようにというように言ったのだ。蘭に英理の元で夫婦関係の事で色々考えてもらうと共に、あることを体感してもらうためにだ。それは何かと言えば・・・






「・・・それで続いてだが、蘭が毛利さんの所に戻るんじゃなく妃弁護士の元にいると選択する可能性は?」
「まず間違いなく妃弁護士の元にいようとするだろう。蘭の行動パターンからして毛利さんや新一にやたらと世話焼きをするといったような場面を何度も見てきたが、それが必要ない環境・・・妃弁護士の所にいるならそれが心地いいと思うことだろう。妃弁護士が蘭にとって立派な女性に親であればあると見る程その傾向が強くなる形でだ。そして妃弁護士も余程何かが無ければ戻らなくてもいいと蘭に言うだろう・・・娘可愛さということもあるが、毛利さんを見限るだとか自分の方が娘を幸せに出来るだとかの対抗心から来る形でな」
「それで蘭は毛利さんの元に帰らなくなるってことか・・・」
「隣の芝生は青いというがその隣に住んでその青さを得たなら、そして元いた場所の芝生を外から見てみっともないものだと感じたならそうなるだろう・・・おそらく蘭は毛利さんの元に何度か顔を出しに来るだろうが、その度に考える筈だ。自分がこの場所に戻るのかだとか、母親が優しくしてくれたり裕福な暮らしをさせてくれるのにここを離れるのか・・・だとかをだ。普段の蘭なら私がいないとお父さんはダメだと言って世話焼きの顔を見せていただろうが、これからの蘭はそう言った考えになるだろうな」
「・・・あまり聞いてて気分が良くない考え方だな、本当に・・・」
それで続いて蘭がどちらにいるかを問うカミーユの声にルルーシュはいかに蘭と英理の立場であったり心情になるのかを話していき、聞いたカミーユが苦い顔を浮かべる。






・・・小五郎と英理のどちらが居心地がいいか、というか英理の所にいる居心地を確かめてもらう為である。

おそらく蘭からして英理と共にいることは苦痛ではないとルルーシュは見ている。英理が料理が壊滅的に苦手だとは聞いているが、それ以外の生活面で問題点など余程娘にさえ対外的に取り繕うのがうまくなければ問題はないと。

そんな生活をし始めれば当然蘭は英理の所で暮らす方が快適だと見るだろう。小五郎の所よりハイスペックな生活になる上、父親の事で悪い方面で気の合う母親との生活・・・小五郎の所にわざわざ戻りたくないと思うのもある意味必然だろう。それも小五郎から英理の元に行くように言われたこともあってだ。

だからこそ蘭は小五郎の元に戻らない可能性が高い、そうルルーシュは考えた。と言うよりは・・・そう考えさせるためにだ。









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