と言っても立派な人間ではないというより、単純に新一や蘭が恵まれた環境に慣れすぎてしまっただけの子どもでしかないとセフィロスは考えた。優作達工藤夫妻もそうだが、小五郎と今は離れている妻の英里も普通に見ればハイスペックな人物であるということを考えてないと。

ただ他三人はともかく小五郎がハイスペックということに関して新一達は疑問に感じることだろうが、経済的な部分として親からの支援があったとしても自身が所有するビルを持っている上で、そのビルの一階部分を店として使ってもらっている家賃を徴収している・・・その金額は東都という日本一高い土地にあることも相まって下手な勤め人の月給よりも余程高い物であり、余程派手な使い方をしなければそれだけでも小五郎と蘭の二人が生きていくには十分なくらいな金が懐に入っているのだ。

それに肉体的な能力面においても射撃の腕は昔警察官だった頃の訓練ではトップクラスの成績を叩き出していて、柔道の腕前に関しても大会などではあがり症で体が動かなくなる事から成果を出せなかったが、そうでない時の実力はかつての部活仲間の間でもトップの実力であると認められる程だった。

ただそれらの反面のような形で色々とだらしない部分があるわけだが、それらの部分で蘭が苦しい思いをしたわけではないしましてや警察沙汰になるような問題を起こしたこと自体は一切無い・・・むしろ蘭にバイトなどさせるようなことなどなく、余程の高価な物だったり何度も使わないのではというような物でなければある程度は買い与えるような事をしていた。そう考えればだらしない部分を嫌だと思わせるようなマイナス面があったというのを加味しても、小五郎が陰でどれだけちゃんと考えつつもそれに気付かせなかったかでスペックの高さが伺えると言えるだろう。普通に考えるなら小五郎のような存在はそうそういないのだ。

ただそんな小五郎もそうだが優作達もまた一般の人々からすればハイスペックな存在であるのだが、新一達はそんなハイスペックな存在だという事を言葉では理解はしてはいても、心からは理解していない・・・いや、正確に言えば蛙の子は蛙というように自分も同じような存在だと見ているのだ。

これに関しては純粋な身体能力であったり頭の良さに関しては勝るとも劣らずとまでは言わなくても、その子どもだと言うには十分な物であった。特に新一に関して言うなら大の大人が何人も寄ってたかっても解決させることの出来ないような事件について、かつてよく警察に協力して事件を解決していた優作のようにしていることは正しくその子どもらしい様子だというように見られていたし、新一自身も優作という親に今はまだ敵わなくとも越える・・・いや、越えれる器だといったように信じて疑っていないことだろう。

だからこそというべきか・・・自分で稼ぐだとか自立すらしていない状態なのに、新一達は自分がまだ高校生であり庇護されるのを当然とすることと、今の暮らしの質を保っているのは親のおかげだという自覚がないのである。特に新一に関しては優作の小説家という職業・・・それも世界で作品が待望されている超が付く程の売れっ子と、新一が就きたいと思っている探偵で稼げる金が同等になるなど有り得る筈が無いのにだ。

この辺りで新一は探偵活動は世のため人のためになっているし、父さん達ならそれを分かっているから等価値かそれ以上の価値が自分の探偵活動にあると見るというのもだが、その活動の為に資金援助をしてくれるというように今も思っている事だろう・・・だがそうさせないようにというのが、セフィロスからの言葉であった。









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