恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 後編

「まぁその辺りで新一があぁなったのは工藤さん達のこともそうだろうが、何より蘭が隣にいてきた事が大きいんだろうな。自分を好きでいてくれて何だかんだ言いつつも最終的には肯定で返すような、たしなめることをしない盲目的な存在が近くにいたことがな」
ただそこでセフィロスは問題は蘭にもあったというように漏らす。新一をたしなめられなかった存在だと。






・・・新一がそういったように探偵としての活動を続けられた理由は優作達からもたらされる資金もそうだが、蘭という新一を全肯定する存在がいることも大きかった。一見は色々と駄目な事をしているというように呆れたりはするが、結局は惚れた弱味もあってか最終的には肯定をする形でだ。

この全肯定する存在というのは単純に強く味方してくれる存在という点でいてくれた方がいい存在と言えるのだが、そんな存在がいるということにより起きる問題点が存在する・・・それは例え間違いが起こっても、その間違いが間違いといったように当人に言わないことだ。

これは他の事でも有り得ることであって問題のあった人物や団体のファンが問題を起こした時に、それらが問題行動を起こした事が問題なのではなく問題というように取り上げた奴らが問題であるとか、そもそもそんなことは問題ではないんだから大騒ぎするな・・・というよう当事者の責任ではないといったような考え方から、当事者を是が非でも庇うという行動を取りかねないのである。

そういった庇うという行動は当事者に本当に非がないのならともかくとしても、当事者に非があってもそうだと認めない姿勢で庇うのは団体はともかく個人だった場合、当事者が自身の行動を過ちだと認められない事が起き得るのだ。自分は間違っていないし、同情してくれて正しいと思ってくれる者がいるのだと。

・・・だがそういった考え方は本当に自分が間違っていると当事者が自覚しにくくなるというデメリットになりやすく、またその意志が強ければ強い程にそうなりやすいとセフィロスは見た。現に優作達もそうだが小五郎という親が話に出た形で見放すような事になっても、蘭は新一の味方に立つことを止めていない・・・親から盛大に心の距離を置かれるような形になってもだ。

そういったように盲目的にというように付く形で新一の味方でいるということで、新一当人にとってもだが蘭やその周囲までもを巻き込む形になってしまっているとセフィロスは考えたのである。決してプラスにはならずマイナス以外になり得ない形で。






「その点であぁいう姿を見ると改めてクラウドは恵まれていた上で、ティファ達のような仲間が本当の意味で隣に並び立つ者としては理想な存在だったんだろう・・・自分の過ちや仲間の過ちをただす事もだが、その過ちを見据える事が出来る強さを持った存在がな・・・」
その上で対比するようにセフィロスは一人過去を思い出すようにしながら手の平を見つつ、何とも言い難そうな顔を浮かばせた。自身にとって様々に苦い思い出達を思い返し。






・・・セフィロスにとっての前世とは波乱に満ちたなんて言葉で簡単に説明出来るような物ではなかった。その中で両親、特に父親のせいでセフィロスは普通とはかけ離れたなんて軽く言えるような物ではないくらい、酷い生を送ることになった。ただそんな生の中でも友と呼べる存在は二人程出来てそれなりに楽しい時間を過ごすことが出来た。

だがその友人二人もセフィロスと同じようなことをされてきた上で、セフィロスも自身がどのような存在かを断片的に知ったことでかつてのような関係を保つことが出来ず・・・二人とは死に別れる事になった上で、セフィロス自身は断片的に事実を知ったことで間違った事を真実と思い込み、暴走する羽目になったのだがその暴走を最終的に止めたのがクラウドとその仲間達であった。









.
23/28ページ
スキ