恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 後編

「・・・まぁそれでもあぁしてようやく俺の元から帰っていった訳だが、あの様子では組織との事が無かったらもそうだが仮に新一が工藤さん達に止められないまま組織の事をどうにか出来たとしたなら、あいつは自分が探偵になる諸々の資金やら何やらを工藤さん達に丸投げしていたことだろうな。父さん達なら普通に金を出してくれるだろうからとでも思ってな」
そんな様子からセフィロスは一転してもしもの場合の新一の未来についてを考え、軽い笑みを浮かべて首を横に振った。まず間違いなくこうなるだろうと。






・・・新一の金銭感覚が大きく一般人から逸脱した理由は本人達に言えば今なら苦い顔で頷くだろうが、間違いなく優作達が新一に必要なのだからと金を随時渡していた面にあったとセフィロスからしたら言えた。これは新一に著しく金を使わなければならないような趣味嗜好が無かったからという部分もまた大きかったからこそ、優作達も自分達ならそれくらい余裕で払えるからというように思ったからこその代物でもあった。株であるとかギャンブルなど金を一気に使うような事を年齢的に簡単に出来なかったこともあるが、やはり推理関係以外に金を使う程の関心がなかった為に。

だから優作達としてはこれくらいは必要な事だと随時でこれくらいなら許容範囲だと金を渡したりしてきたし、新一も新一で父さん達ならこれくらい払えるだろうからと一切遠慮も考えもなく金をもらってきたのであるが・・・もし仮に新一が探偵になったとしたなら、新一はその為の開業資金といった一切合切を自分で出すことなど考えずに優作達に任せるとセフィロスは見た。

いや、正確に言うなら新一は最初こそは優作達にその資金を貸してくれと言うだろう・・・だがセフィロスからの言葉が無かった時の優作達の考え方を踏まえれば、まず確実に金なんか返さなくていいから探偵として頑張れというように言っていたのは間違いなかっただろう。新一に金を出すのは当然という形で普通なら大金といった金額をこともないというように出す形でだ。

そして新一も新一で最初こそは遠慮はするだろうが、結局は断ることはせずありがたくそれらを受け入れる事だろう・・・実際の所として例え高校卒業であっても大学卒業であっても、バイトなどで金を稼ぐ以前にバイトをしようとすら考えていない新一では一人で探偵の開業資金を捻出するなど不可能であり、新一自身は否定することだろうが・・・優作達がそういったようにしてくれると自然に計算しているからこそ、自分で開業資金の為の金稼ぎをしようなんか一ミリ足りとて頭に無かった形でだ。

この辺りで自分で金を稼ぐという考えが無いのは優作達が何もかも金を出してくれていたこともそうだが、これまた新一は否定することだろうが自分が探偵以外として働くなんて有り得ないと見るだろうことからだ。例え探偵になる開業資金の為とは言え一時的に他の職種に就いて探偵として活動しないなんておかしいとなるから、いっそ優作達から金を借りて探偵になって働く傍らでそれらを返していけばいいと思うだろう・・・それくらいに新一はいかに自分が探偵であるかを優先したいからバイトなんかで金を稼ぐ為とは言え、時間を食う事を避けるのは目に見えていた。

それもこれも新一がそれだけ優作達の金をアテにしていたからこその物であって、頼ってないというように言いつつも実際は頼るどころか依存以外の何物でもない事をしているからあれだけ新一はまいっていたのだ。今までのように金が自由に使えないことに。









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