恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 後編

「今言ったことに関しては一応人目につかないように配慮した物だから、そうしていたのかと実際に知る事が出来ないことはある意味では仕方無いことだろう・・・だが一応は成人前で一人立ちをしていない息子のしでかしが自分達の不手際からということを知ったなら、親が頭を下げるのは普通の事と言える行動だ。しかし元の場所に戻ってからのお前の行動について大まかに聞いてはいるが、毛利さんに謝りに来たといったような話を聞いたことはなかった。それはお前からしたら二人の判断や俺のやったことに苛立っていたからという言い訳も出来るだろうが、そういった言い訳をするにしても他に言い分があるにしてもお前が毛利さんに頭を下げなかったという事実は覆らないんだ。肝心の親が頭を下げた原因であるお前はそういった不平不満に頭が一杯で、自分が悪かったとか謝りに行こうといった考えすらなかったことはな」
「っ!・・・お、俺は・・・俺は・・・っ!」
「し、新一・・・」
セフィロスはそこから優作達と新一がいかに立場の違いがあるかに、新一が優作達と違い小五郎に謝りに行くことを考えてなかったのかを突き付けると、流石に効果は覿面とばかりに衝撃を受けて唖然としながら頭を抱えだしたことに、蘭は心配そうに新一の肩に手を置くが・・・そこからセフィロスに辛そうながらも責めるような目を向けた。
「・・・言いたいことは分かりますけど、いくらなんでも酷くないですか・・・そんなことを言うなんて・・・!」
「・・・酷い、か。ならまた君に酷いと言われるだろうと承知で言わせてもらうが、俺は先日毛利さんの元にそろそろ戻ることを報告しに行った上で色々と話をしたが・・・その中で言っていたよ。優作さん達が謝りに来たのに新一はそんな素振りを見せないこともそうだが、そんな中でも蘭が新一の肩を持つしかしない様子に新一もそうだけれど、蘭の事についても色々な意味で諦めているというようにだ」
「なっ・・・ど、どういうことですかそれは・・・!?」
そして敵意と共に新一を庇うような言葉をセフィロスへ向けるのだが、ならとそんな蘭に小五郎からの本音を返すと瞬時に信じられないといった様子に変わった。
「単純に今の君が見せたように新一を庇う姿勢を変えなかった事だ。この事に関しては君と度々新一関連についてを話し合ったこともあって、最早君に新一の事を諦めるだとか考えを変えてもらうことは無理だと諦めざるを得ないというように理解してな」
「そ、それは当然です!ここで私が引いたら新一に味方をする人はいなくなるんですよ!」
「だが君が新一庇いたさに考えもなく行動したことで、毛利さんは諦めざるを得なかったそうだ。毛利さん当人からすればそれは言わないでくれといった類いの話になるが、『江戸川コナン』がいなくなった後の探偵としての業務に多大な影響があったことも大きい形でな」
「「・・・え?」」
その様子に何が理由かと話すセフィロスにすぐに蘭は当然とばかりに声を大きく返すのだが、続いた新一ではなく『江戸川コナン』の影響との言葉に新一共々揃ってどういうことなのかと呆けた声を漏らす。
「簡単に言うなら『江戸川コナン』がいなくなったことでいた頃の名探偵とまでは言わずとも、腕のいい探偵というように言われていた評判を当てに依頼をされてきている事が毛利さんに負担をかけているとのことだ。ただそれなら君達からしたら仕事が来ているのはいいことだろうと思うのかもしれないが・・・そもそもそんな依頼や仕事で起きた事件の中で誰が事件を解決したのかは君達、特に新一は分かるだろう?」
「「っ!」」
「そう。その時に解決していたのは毛利さんを問答無用で眠らせ、毛利さんを操り人形にしていた『江戸川コナン』だ」
そんな二人にそもそも小五郎の評判が何故上がる事になっていったのか・・・そう話していくセフィロスに二人はハッとしたように息を呑むが、すぐさまその答えを口にした。『江戸川コナン』に扮した新一がやったことだと。









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