恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 後編

「何故そうなるかは簡単な事だ。今まで自分の責任だというように言ってきた新一がいざまずいとなったから、今までこんなことがあったけど自分じゃどうしようもなくなったからどうにかしてくれ・・・なんて二人に泣き付いたら新一はやりたいことだけやって後始末を投げる子どものような存在だと見られて、そして二人はそんな行動を取った新一の事を知らないままでいたという親としてどうかという目を向けられると共に、新一の後始末の為に駆り出されるのは流石に哀れだ・・・といったような軽蔑と同情が入り交じった視線やら言葉やらを向けられるのは確実だろうからだ」
「「っ!?」」
「これに関しては新一に博士が二人に話を通そうとしなかったことが原因に尽きる・・・仮に二人に話を通した状態で敢えてお前達の望み通りにしていたなら何をしているといったような批難の声がほとんどを占めていただろうが、何も知らされていなかったならそういったような見られ方で二分されていたことだろう・・・だがそういった視線を向けられるということは一方的に批難されるより、ある意味では辛いものだ。批難されるだけなら辛かろうがそれだけに集中すればいいが、同情的な視線や声も共に向けられれば複雑といった言葉一つでは片付けられないような様々なモノと向き合わなければならなくなるだろう・・・そうなれば新一は楽になるだろうが二人が様々に苦心をすることになっただろうな」
「「っ・・・!」」
それでセフィロスはそのままいかに二人が新一に助けを求められたならと仮定した話をしていくのだが・・・その中身が二人にとっていかに苦渋の状況になるのかを鮮明に表した物だったことに、新一を庇いたいという一心だった蘭もだが新一も顔を青くしながら言葉を失うしかなかった。優作達がどうなるかを聞いてしまってそんなこと関係無いなんて言える領域をとうに超えてしまっていることに。
「・・・少し話は長くなったがそういうことだ。博士を頼るにしても両親を頼るにしてもどちらも苦境に陥ることには変わりなかっただろうし、なら他の大人をというのは事情も知らない上にろくに関係もない人物ばかりしかいないことから無理があるが、ならばと言って君の父親である毛利さんに頼ろうとするのはある意味では最も論外と言える選択だろう・・・何せ新一が何も言わずに騙して家に入り込んでいたというのに、そんなことを差し置いて新一が辛くなるからどうにか助けてくれなんて言ったなら、どれだけ毛利さんを都合が良くて利用出来る存在と見ているのかという話になるんだからな」
「「っ!?」」
「とはいえ前の反応から考えれば毛利さんはどうにかしてくれなんて声に応えはしないだろうが、そこに関しては問題じゃない。なら何が問題なのかと言えばそれが新一が一人でやりたいといった事により起こり得るもしもの未来として考えられた物であったと共に、こうして不平不満を口にしてくるお前達は結局の所として前に色々と言われたことに関してをちゃんと受け入れてないということだ」
「「なっ・・・!?」」
だが続けて小五郎が苦しくなることを口にしたまでは二人はそれまでのように息を詰まらせたのだが、そこから何も学んでも受け入れてないと言われて瞬時に二人は怒りの様相を浮かばせた。いくらなんでもそれは言い過ぎではないかと。









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