恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 後編

・・・新一の性格の特徴としてあるのが見栄っ張りというか、いいカッコをすることを念頭に置いていることにある。話の中にあるような探偵として在ろうとする事から無様だったりみっともないというような、いわゆるカッコ悪い見映えの悪い事を避けたいと思うくらいにだ。

だからこそというか元の体に戻ってから目暮からまた事件が起きたから来て欲しいという連絡が新一に来るようになっていったのだが・・・そこで以前だったら今すぐ現場に向かいますと新一は距離が遠ければ躊躇わずにタクシーを使っていた。一応都内であり米花町近隣という目暮達の担当の場所の関係上、滅茶苦茶遠い所に来てくれといった要請はなかったが、それでも徒歩では時間がかかりそうだという場所に向かう際には事件の早期解決の方が大事だと金の事など気にせずというか、その為ならタクシー代なんて父さん達も許すだろうと見てだ。

だがそれが通じたのは以前までの話で、探偵活動の為のタクシー代なんか支払わないしどうしても急ぐという時は自分の小遣いでまかなえと優作達から取り付くシマもなく言われ、新一もそうだが久しぶりに会った目暮もそれくらい許すだとか出していいだろうというように言ったのだが、勿論結果は振るわずとなってやむを得ないという形で要請があれば新一は自分の足で向かうか、目暮から迎えのパトカーを出すとなるかのどちらかで現場に行くことになるのが普通になった。

・・・こういった結果になったことに新一は不満を大いに抱いた。目暮達には気を使われて心配をされて、組織関連の事については流石に黙りはしたが何が起きて優作達とあぁなったのかを話さなければならず、何とも言えないといったような様子になってしまったこと・・・見映えやらカッコつけることを気にしている新一からすれば、かなりの不平不満を抱かずにはいられなかった。そんな新一の様子を見ても悪かったとかやはり元のようにしようというように優作達が歩み寄ってこなかったのも相まってだ。

だがそうして不満だからと癇癪を起こすようなことをしてしまうのはよりみっともない事をしてしまうのと同義になるから、新一は不満を口にはしないでいるのだが・・・それが傍目から見ればやせ我慢であると共に、何回か話し合った上でそれは撤回しないと強く言われたことから言わないだけである。

だがそんな状況だからこそ以前ならこう出来ていたのにというジレンマをずっと抱えていき、新一もそうだが蘭も蘭でそんな新一の状態についてに不満を抱いていた。言いたいことは分かるし新一に騙されていたのも確かではあるけれど、戻ってきた新一が苦しんでいるという様子を見ていったことに辛いという気持ちになることでだ。

そういったように二人が不満やらを抱いて生活をする中で、家にいた新一が優作が電話している姿を見ていたのだが、そこでそろそろセフィロスが海外に戻るという話が聞こえたことにより、新一は居ても経ってもいられずセフィロスに会いに行こうと決めて行動することにした。一応セフィロスが泊まっているホテルに関しては場所は何処にあるかは聞いていた為に。









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