恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 後編

「まぁその辺りに関してはもう僕達には関係のないことになります。新一君がその後にどうなるかはある程度予想はつきますが、家庭の不和に関しては余程の事が通報されなければ民事不介入というのが普通になりますし、もし新一君から僕達にどうにかしてくれというようなことを願ったとしても僕達と繋がるような事なんかないからね。だからもうこの話題はこれで終わりにしましょう」
「えぇそうね。もう私達は余程でなければこれから工藤君とは会うことはないんだし、仮に会ったとしても組織関係や貴方が公安の立場にいることだったりは口にせずに初対面で通してお互い知らんぷりで、以降も表向きの立場としても繋がりを持つなんて事はしない・・・工藤君の性格上公安の関わる事件に首を突っ込みたいから貴方や私達と表の繋がりを持ちたいという気持ちを抱くだろうけれど、そうしたらしつこく事件に関わりたいと言ってくるのを断る形でね」
ただそんな会話についてを二人は共に締めようというように漏らしていく。後々に新一がどうするかにどういったことをしてくるかについてを隠しもしない呆れと共に・・・


















・・・そうして新一が元の体に戻って元の高校生としての生活に戻りしばらくの時間が経つのだが、以前の新一の在り方とは違う活動をすることになったというかせざるを得なかった。これはやはりというか優作達が新一の手助けをしないと言い切った上で、有言実行の形を取ったことにあった。

新一が高校に復学して普通に高校に通い、普通に生活する分には何も問題はなかった。だが体が小さくなる前の生活と大きく違う点として、小遣いの額を減額された上で固定されたという部分が新一にとって何より大きな問題となってしまった・・・これは海外に優作達が行ってからの部分が大きかったのだが、生活費も含めてという点を踏まえても高校生が手にするにはかなり高額な金を使えていたことにあった。

だが優作達がいる家に戻ってからは二人が遠出をしなくなったのも相まって多額の生活費を渡す必要が無くなったのと共に、以前のように普通の高校生がもらうにはかなり多いと見られていた小遣いの額が多少多い程度に収まるくらいになった。ただこれだけ聞けば一見そこまでキツくなっていないように思うかもしれないが、ここで大きかったのが固定されたという部分だった。

この固定というのは本当にやむを得ない場合は追加の金を出すのはともかくとしても、探偵としての活動を行うだとか求められた際の活動費もそうだが蘭とデートをするといったことに関しては絶対に出さないとなったのである・・・この前者はともかく後者にまで制限をかけるのはどうしてかと言われると、これは新一単独でか蘭も協力してかはともかくとしてそのデートにかかった金を誤魔化す形で、新一がその金をちょろまかす可能性があると見てだ。もらって余った金をどう使おうが勝手だろうと言われればどうにもならないし、そもそもが蘭との付き合いに関してがバイトなどして自分で金を稼いでいない高校生にしては有希子が率先して金を出していたと言っても、あまりにも贅沢というか金を使いすぎているということから蘭とデートするにしてももう金は出さないし身の丈にあったデートをするようにとしたのである。

だからこそそんな風に以前とは相当に違う形で金を絞られた新一は蘭とデートをするにあたっても相当に苦労することになるのだが、それよりも苦労することになったのは・・・事件が起きた際の交通費を始めとした資金の捻出であった。









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