「そうか・・・新一がそんなことを・・・」
「一応は俺が勝手に二人を呼び出したことだから何も蘭には言わないって言われたんですけど、蘭は大丈夫なんですか？」
「まぁ当面は問題ねぇよ。今日には荷造りを終えたって事から、もうさっさと怒りながらここを出てっちまった・・・当分は様子見だとかって理由つけて帰ってくることもねぇだろ。少し寂しくはなっちまうが、蘭にも英理にも色々と考えてもらわねぇといけねぇからな・・・」
「「・・・」」
・・・それで新一の家から戻った二人は小五郎の元で毎度の食事タイムに入る中で自分達に起こったことを説明し、小五郎からももう蘭がいないと返される中で言葉通り寂しげな様子を見せた事に二人も若干心苦しげに表情を変える。
「・・・わりぃな、湿っぽくなっちまってよ」
「いえ、毛利さんの立場なら当然だと思います」
「いや・・・つーか話題を変えるけど、よく新一を説得っつーか言い負かせたな。あいつの性格を考えると自分が言い負かされるってのは我慢ならねぇってなると思うんだが・・・」
「それは僕が新一についてこう感じた上でルルーシュに話を進めてもらったからなんです・・・新一は正解を出すことに慣れてはいても、自分が失敗するってことに対して忌避感を感じてるって」
「忌避感？」
小五郎はそんな二人に気付いた上で話題を新一についてに変えるのだが、カミーユが返した忌避感との答えに首を傾げる。
「単純に自分が間違えた答えに辿り着きたくないって気持ちが新一にはあるってだけですよ。事件や推理じゃ百発百中のように真相に辿り着く自信があるからこそ、他の事でも間違いを犯したくないって気持ちがある。けれど毛利さん達の問題に関してはこうすればいいなんて正解はないし、失敗すればその代償は大きい・・・そういった問題に会うことがないから、新一は自信を持てないんです。失敗する自分なんて自分じゃないなんてまでは言わなくても、近いことは考えていると僕は感じました」
「・・・そう聞くと、あいつも臆病な部分があるんだな・・・」
「成功ばかりをしてきた人ほど失敗を恐れるものだってルルーシュは言っていましたが、僕もそれが分からない訳ではありません。ましてや蘭から嫌われるなんて結果になるのは強がって誤魔化そうとはしても、新一は心の中では望んでいないことだと考えるでしょうからね」
「まぁそう考えりゃ、新一が尻込みのも仕方ねぇか・・・」
カミーユはその理由についてを話をしていき、小五郎もまたその中身に分かると納得する。






・・・実際、新一が二人から不本意ながらも引き下がった理由は失敗すれば相当なダメージを負うのを避けたいと、心のどこかで感じていたことも含まれている。

カミーユが言ったように人は失敗を嫌う生き物であり、成功を重ねれば重ねるほどにその傾向が顕著になっていく。例えそれが自分の専門外であったり不得意な事であったとしても、今までに培ってきた見栄にプライドなどがあるからこそ失敗したくないと考える物である。

それに新一はまだ二十歳未満であり、人生経験は人より濃くはあるし頭はキレてはいても大人というには色々と経験が足りていない。それこそ年齢的な事もあって結婚を始めとした男女の機微に、家族問題の事を解決するにはあまりにも青すぎると言えるほどにだ。

そういった事を新一も多少なりにもルルーシュから聞かされたこともあって、二の足を踏んだのだとカミーユは見ている。自分が成功するビジョンが見えないことに失敗した時のリスクがあまりにも高いことから、小五郎達の問題に口を挟む事は止めておきたいと。









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