恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 後編

「・・・さて、体も元に戻った上で組織ももう壊滅した。後は分かっているだろうが、お前は『工藤新一』として元の生活に戻ることになるがその際には組織関連のことは話すのは止めてくれ。特にお前の体に関してを話したなら後始末はかなり面倒になるからな」
「・・・分かってますよ、それくらい・・・」
・・・そして組織が壊滅し終わり、公安の隠れ家の一つにて。
そこで解毒薬を飲んで元の体に戻った新一だが、セフィロスの微笑からの言葉に明らかに不満タラタラというように視線を背けながら返す。






・・・そんな新一は公安の人間が車で家まで送るということで、その場を後にしていった。
「・・・いいんですか、あんな態度に何も言わなくて?」
「構わないさ。むしろ俺が機嫌を直してほしいといった態度を取る方が面倒になるのは目に見えていたから、敢えて無視させてもらった。それに俺がここで機嫌を取った所で工藤邸に戻ってから生活すればするほど、あいつの機嫌が悪くなるのは容易に想像がつく」
「あぁ、どうせという言い方は悪くてもここで機嫌取りをしても意味はないということですね」
そうして新一がいなくなったのを見届けて公安の代表である降谷が新一の態度についてを聞くが、セフィロスが余裕の笑みから返した答えに納得といった声を漏らす中で降谷の隣に一人の女性が来て口を開く。
「機嫌取りなんかしちゃいけなかったと私も思うわよ。そんなことしたら確実に工藤君はここにいた分を取り返す為の要求をぶつけてきただろうから」
「取り返す為の要求というと以前のような環境にしろというように言うことか?」
「えぇ。貴方の言葉から工藤君の両親がこれからどうするかについてを決めたことは聞いたけれど、最初はやってやると言うだろうけど次第に勢いが無くなるのは目に見えているし貴方にどうにか両親を説得してくれと言い出すのは目に見えてるわ」
「だろうな。だが俺はそう言われてもそうする気はないし、俺からの言葉でも二人は考えを覆すつもりはそうそうはないだろう。だからそうしようがしまいが無駄だろうさ」
「・・・それだけ二人は貴方の言葉に影響を受けたということだろうし、それを覆すようなつもりもないくらいの気持ちはあると・・・まぁそれくらいの気持ちじゃないと話に出したような処置を取れないというか、取らない方がいいでしょうね」
そうして女性がセフィロスに話し掛けるのだが、その言葉には一貫して新一に対しての呆れだったりウンザリといった感情が強くこもっていた。






・・・セフィロスは組織を追う傍らで降谷を始めとして公安の面々ともそうだが、新一を小さくした薬の作成者である志保とも交流していた。公安に関しては日本での活動があるからある程度交流するのも当然と言えば当然なのだが、志保に関してどうしてそうなったのかというと新一が理由であった。

一応というか志保は組織から逃げ出した経緯とその体の事から新一と同じく保護対象という形を最初は取って近い場所にいさせる形を取っていたのだが、しばらくしてから志保からの要望の声が届いたのである・・・出来ることなら新一と自分のいる場所を離して欲しいと。

その要望の声が出たことに降谷もそうだがセフィロスもどうしたのかとなり、志保に話を聞いていくのだが・・・その話の中身を聞いていくにつれて二人、特にセフィロスはあぁというように納得した。志保がそういった要求を出したのは互いの状況についてを話し合って一応新一から敵ではないし同情出来る身の上だというように見られたまでは良かったのだが、そこから自分達に対しての扱いやらが酷いといったようなことばかりを言ってきているといった話ばかりをしてくるという事に。









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