恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 前編

「ただ、だ・・・ここで問題になる事が一つある。それはそういったような処置を取るからこそ『工藤コナン』という存在になるのなら、『工藤新一』の時のような活動は許されないという事は絶対に守ってもらわなければならないということだ」
「えっ!?な、何で!?」
「蘭、今言った話の流れから分かるだろう・・・もし体が成長したとしてもいなくなった新一とコナンをイコールで結び付けるなんざそう簡単に出来ることじゃねーだろう。だがそれで『工藤コナン』となったあいつが成長していくにつれて見た目は『工藤新一』そのまんまになっていった上で、『工藤新一』のように事件を解決していったならマスコミに顔が出る形になっていって、二人の顔が似てる所じゃねーって話になる可能性は有り得るんだぞ。そしてそうなりゃ二人は似てるだけって言われるだけじゃないとか言い出して騒ぎ出す奴らが出てきかねねーから、また何らかのトラブルが起きる事が新一の今までの性格から有り得る・・・だからもう小さくなる前のような活動の仕方は止めてもらうってことなんだろ」
「えぇ、そういうことです」
「っ・・・!」
しかしとそこで新一に問題があるといった中身に蘭は驚きを浮かばせるが、小五郎が話の流れから理解したといったように推測を冷静な様子で口にしていって、セフィロスにそうだと頷かれた事に唖然とした様子を浮かべた。
「蘭ちゃん。一応言っておくと今彼が話したのはあくまでも元に戻れなかった時の事についてだ。まだそうなるとは確定していないよ」
「で、でも優作さん・・・新一がそうなるっていうのは新一が嫌がるのが目に浮かんでくるんですけど、それは可哀想だと思わないんですか・・・?」
「それが新一を甘やかさないという意味にも繋がるんだよ。確かに今頃話を聞かされて新一もそんなことになるのは嫌だという気持ちになっている事だろうが、今の状況はそもそも私達が甘やかした上で新一が自分の為にと行動を起こしたことが原因だ・・・もし元の体に戻れなかった場合に自由にやれないことが可哀想だからそんなことはしないとしてしまえば元の木阿弥どころか、結局私達に新一は何も反省していないという風になるんだ。特に私達が親として我が子が可哀想だからでまた同じようにしてしまうと言うのであれば、それはつまりまたあんな風に新一がなってもいいし同じように行動してもらってもいいという風に思っているというように思われるだろうとね」
「っ!!」
ただそこで優作がその反応はどういうことかと察した上で注釈をつけると、それが正解とばかりに蘭は新一が可哀想という声を漏らし・・・小五郎が一瞬表情に険を滲ませたのだが、それに気付いたか気付いてないかはさておき優作が揺るぐことなくそれは望まれない理由を語っていくと、蘭は盛大に息を詰まらせた。新一を明らかに勢いだけで庇った蘭だが、優作のちゃんと考えてきた言葉達はそんな考えなしの言葉では反論出来ないと感じさせられて。
「・・・繰り返すようだが今の話はあくまで元に戻れなかった場合の話だ。絶対にそうなるわけじゃないが・・・なら元に戻れたならそれまで通りにするかというかと言えば、そんな風に甘くするつもりはないと言っておくよ」
「あ、甘くするつもりはないって一体何をするつもりなんですか・・・?」
「何もするつもりはないよ」
「え・・・?」
だがまだ終わりではないと元に戻っても甘くしないと言う優作に恐る恐ると蘭は先を促すのだが、何もしないと矛盾を感じさせる答えに戸惑いに顔と声を揺らした。訳が分からないと。









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