恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 前編

「・・・蘭ちゃんは甘やかさないというのはどういうことか分からないと思っているかもしれないが、そもそもこの状況が生まれたのは私達が新一なら大丈夫と思って私達が日本を離れて新一に一人で暮らすかと持ち掛けてそうなってしまったからになる。私達がそう切り出したからこそ生活が困窮しないようにと十分なお金を振り込むようにしたことや、何か問題があればすぐに駆け付けるからというようにしたことからだ」
「え・・・それは問題ない事なんじゃないんですか?新一は一人で平気な様子でしたけど・・・」
「前者に関しては新一がそういった形で私達からの受け取るだけ受け取って、バイトをするなりして自分でお金を稼いで家の環境の意地を始めとした必要な諸経費はまだしも、自分の趣味などといった事には自分で稼いだお金でどうにかしようと思うような気持ちを損なわせてしまったことにある。新一からすれば事件解決の為に呼ばれただとかトラブルがあるならそれをどうにか解決しに行きたいから、バイトをする時間なんかあるかといったように直に話したら出てくるだろうが、それは言ってみればそうしなくても十分なお金が入ってくるからバイトなんてする必要はないし探偵としての活動をする方が重要・・・といったように考えさせてしまったことが私達が甘やかした結果なんだとセフィロスの話から思ったんだよ。自分がお金を稼がなくても私達が出すんだから何ら問題はないというのを当然と思わせてしまったとね」
「っ!」
優作はそんな蘭に対して甘やかした理由は二つあるといったように話していき、その内の一つは金にあるという事を事細かに説明していくと蘭はハッとしたように息を呑んだ。






・・・金の事が話題に挙がったが、今この場にいない新一はそんなに金の無心をしていたかのように金を使うようなことはしていないと否定するだろう。しかし自分でバイトをするなりして金を稼いだ事もだが、そうして自分が稼いだ金だけでどう過ごすかだとか物を買うかであるかもだが・・・蘭と度々買い物であるとかデートといったような事をした時に、そういった金で支払いをするだとか資金繰りをどうするか悩んだことなど一度たりとて無かった。何故ならその金は全て優作達の懐から出たものだったからだ。

そして蘭との時間を過ごすだとかをする際で優作達が日本にいた時は、特に有希子が顕著に臨時におこづかいをあげる形で新一に金を与えていた。蘭とデートするならエスコートする側の新一が色々と支払うのが当然だろうし、男を見せるようにというようにだ。

そしてそんな事を言われた側の新一は恥ずかしそうにはするものの金をもらうことを拒否するといったような事はせず、その金を使う形で蘭とのデートだとかをするわけだが・・・そこで支出が万の桁を超えることは少なくないどころか、むしろそうならない方が珍しいくらいだった。

これは新一が優作達からの教えもあって蘭に金を支払わせること無くスマートでいてキザに決めようとしたからこその結果なのであり、優作達が出した金なのだからと厚意を受け取ることを躊躇いなく出来たからなのだが・・・こんな金の使い方が普通であるわけないのだ。だが新一は優作という普通の人間が生涯かけて稼ぐ金を作品さえ出せば稼げる程の売れっ子の小説家を親に持っていて、尚且つ新一に金を渡すことを躊躇しなかったからそれが成り立っていたのである。悪いことをするために金を求めたり使ったりしないからという信頼を優作がしていたのもあってだ。

だがそれがいかに新一を甘やかすことになったのかをセフィロスから聞かされた上で、対処をするとなったのである。もう一つの問題があれば駆け付けるからとしたことが誤りだったと気付かされた事と共に突き付けるようにしようと。









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