隣の芝が青いことの意味

「・・・と言うことだ。お前がどう感じて動こうと言うのかは俺には分からないが、少なくとも俺達は自分の考えを示した。その結果として俺達は蘭に妃弁護士もそうだが、毛利さんに何かしら恨まれる事も覚悟している・・・お前がハッピーエンドを諦めず動くと言う考えを持って動くのを止めるつもりはないが、それが失敗したり別の考えを進めようとしたなら恨まれる事を覚悟しろ。毛利さんに妃弁護士もそうだが、蘭にもな」
「っ!」
ルルーシュはその考えから自分達の覚悟と共に新一が何かするなら責任が伴われると告げると、息を呑んでひきつるような姿を見せた。
(・・・自分の判断に重大な責任があるってなったら尻込み、か。こういうところがあまり好きになれない所なんだ。悪い奴じゃないとは分かってはいるんだがな・・・)
そんな光景を黙って見ていたカミーユはそっと新一に対して気持ちよくないと心中で漏らす。その態度についてを。






・・・ルルーシュとカミーユが新一の事を好きでも嫌いでもないという理由は、こう言った部分にある。確かに新一は正義感も強いし善人と呼べる部類の人間であって、そこに関しては別に二人も文句はない。だが二人から見てその正義感の強さには欠点がある・・・それは答えのない問題に対して弱いことと、答えがあったとしてもその答えに辿り着いて事態が解決したら、その後のアフターケアなど一切ないことだ。

だが何故そんな風に二人が思うのかと言えば、新一が自分が探偵であり事件や謎を解くことが何より大事だと考えているからだ。

新一は親である優作譲りの能力があって警察にも探偵として頼りにされていて現在中学生の身でありながら数多の事件を解決してきたが、それはその能力があるからというのもあるが明確な答えがあるからである。事件があってどのようなトリックが用いられたのか、そしてそのトリックを用いた犯人は誰なのか・・・それを明らかにすれば事件は解決、となるために。

しかしそういった問題というのは言い方はともかくとしても、正解がある問題でしかない。そして世の中には正解がこれだ、と言えるような問題がない事などいくらでもある。現に小五郎達一家の問題がそうだ。

単純に見るなら家族三人仲良く元の鞘に戻るが、一番分かりやすい答えと言えるだろう。しかしそこに辿り着くまでの過程・・・これをどうすればいいかという事を考えろと言われたなら、そんなことをすんなりと考えられる人物などまずいないだろう。これをこういった手順を踏めば正解に辿り着くなんて手順やマニュアルなど、こうすれば絶対にうまくいく教科書のようなものなど一切ないのだから。

そういったことから小五郎達一家の問題に答えの出し方に明確な答えがないと言えるのだが、新一はそれを理解していない・・・いや、正確にはそういった問題とぶち当たる事などなかった。探偵とは謎を解くことが仕事だといった考えを持つものだから、謎を解くのではなく仲を紡ぐため・・・それも単に仲良くしなければいけないと子どもにも分かるような単純な言葉だけを送るのではなく、複雑でいて難解な心に根付く問題をどうにかしなければならない事態に遭遇したことがない為に。









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