「ただ向こうからちゃんと『江戸川コナン』の後始末はちゃんとするように優作氏達には話しておいてくれと改めて釘を刺すようにと強調されました。この辺りは向こうにした約束もありますから、息子可愛さにやはり止めたと反故にされたくないという考えからでしょうね」
「分かっている・・・新一が聞けば後出しでそんなことをするとか言うなんてというように言われるだろうが、まず有り得ないにしても新一なら隙を無理矢理作って逃げ出して毛利さんの元に駆け込んでこないとは言い切れないから、帝丹小学校にはただ『江戸川コナン』は転校するというように済ませるが毛利さん達には全部『江戸川コナン』の事実を打ち明ける事を止めるつもりはないさ・・・」
そして次は優作だと公安から言われたことについてを口にするセフィロスに、気が重いといった様子ながらも迷わないと返す。






・・・新一を公安に引き渡すかどうかについてを話す傍らでもう一つ、『江戸川コナン』の後始末についてをどうするかについてがセフィロス達の間で議論されることになった。それで引くと選んだ時は帝丹小学校には今まで通り通うことにして、毛利親子には親戚である自分達が身柄を引き受けるということで引き取るといった形にして、何も言わずに済ませることにしようというようになっていた。これは一応新一が引くくらいには自重の考えがあることから、裏で優作達を出し抜くような最悪な裏切りを犯さなければ新一の事は黙っておくのがいいと見ての判断だ。

しかし新一が引かないという決断を下した場合の事を考えたなら、新一は公安に引き渡されたとて逃げ出すとか公安を利用して動かざるを得ない状態にしかねない危険性はどうしても残ることになる・・・それだけ新一の諦めの悪さに意地の強さを優作達は危惧したからこそ考えたのである。流石に事実をありのままに伝えるのは後の危険性もあるから帝丹小学校側には話はしないが、ここで新一が逃げる場所と唯一なり得る小五郎達に全てを伝えたというように話されたならいかに新一でも最早諦めざるを得なくなるだろうと。

ただこの全てを話すという部分に関しては色々厄介な部分もあった。その筆頭というかその厄介な部分をまとめて言うと何なのかだが、それは今までのように仲良くやれていた小五郎達との関係を壊しかねないということだ。

これに関しては優作達は帰ってきて初めて事実を知って行動したからまだしもにしても、小五郎達を騙して利用すればいいと発案した大元の阿笠は二人から非難轟々になって以降の関係に大いに影響が出るのは容易に予想出来るが、そこは阿笠ももう覚悟の上だと言っているのもそうだが厄介という部分の本質ではない。なら本質なのかと言えば・・・事実を知れば小五郎と蘭の意見の相違が出かねないという点にあった。

これは小五郎は普段はちゃらんぽらんで楽天家な部分もあるがちゃんとした場では大人としては良識的に行動出来るし、新一のやることだったりを盲目的に大丈夫だ等と信用するような考え方をしていないのだが・・・蘭は新一を異性として好きだからこそ色々と言いはするが、最終的に新一のやりたいようにやらせることがいいというように傾く可能性の方が高いだろうと見たのである。それも極めてと付く形でだ。

この極めてという部分に関しては新一が元に戻れなければもう新一は『工藤新一』には戻れず、『江戸川コナン』として生きる以外にないという未来しかないということを考えるだろうということからだ・・・ちなみに一応公安には組織を壊滅させるに辺り薬のデータを持ち帰れるようにしてほしいとは言っているが、あくまでそれは一応というようにだ。新一は元に戻りたいから諦めるつもりはなかったが、セフィロスの話もあって優作達はデータを得られてもこんな超常現象が起きた体を元に戻せない可能性は十分に有り得る事を承知している。例え薬のデータから研究が出来たとしても元に戻すための何かが出来るなどあまりにもご都合主義が過ぎる事もそうだし、最善ばかり目指して最悪の可能性を考えもしていないまま最悪の瞬間が訪れたならより絶望に叩き落とされかねない・・・だから元に戻れないことも覚悟をして考えるべきだと言われてだ。

だが蘭はそういった理屈なんか知らないし、新一に騙されていたのは気持ちよくはないけど全部知ったんだから私も協力するし、優作さん達もお父さんも力を貸して欲しいしここに新一を戻して・・・と言いかねない可能性の方が断然に高いと見たのである。それだけ蘭は細かな理屈なんかより新一の事が好きだからで新一を元に戻せる可能性があるならで猪突猛進しそうだと。









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