恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 前編

‘カチッ’
「あっ・・・!」
そして痛みに苦悶の声を漏らす中でセフィロスは腕に着けていた時計・・・いや、正確には阿笠が作った腕時計型麻酔銃を外し、新一はその音と感触に声を上げる。
「・・・博士、他には新一に武器になり得る物はないんですよね?」
「うむ・・・変声機は武器にはならんし、キック力増強シューズは脱いでおるからの・・・」
「は、博士・・・どういうことだよ、これは・・・!?」
「すまん、新一・・・じゃが話の展開次第ではあるとは言われてはいたが、それでも新一の気持ち次第ではこのようにすると話されていたんじゃよ・・・」
「な、何・・・!?」
優作がその中で慎重に阿笠に声をかけて答えを返す様子に地べたから上を見上げながら新一は怒り気味に声をかけるが、申し訳なさそうにしながらも出てきた予定通りの流れだとの返しに理解出来ないといった様子を浮かべる。
「何故だという様子だが二人ともそうだが博士とも話をした結果として、ここで君が素直に引くといったような答えを出してくれるかどうかを試すことにしたんだ。素直に引くならもう少し穏便に事を進めるようにし、そうでなかったとしたなら力ずくでもう取り押さえるようにするとだ」
「な、何・・・何でそんなことを・・・!」
「理由は諸々あるが後の展開もあるから最もな理由を言わせてもらうが、もう君の両親二人が君を自由にさせるつもりはないというように示すためにこうしなければならないと思ったということからだ」
「えっ・・・っ・・・!?」
そんな様子に何故こうしたのかと答えたのは淡々としたセフィロスで、そこで出てきた答えに優作と有希子の方に視線を向けると・・・そこには共に悲しげな表情を浮かばせる二人の顔があって、たまらずに息を詰まらせた。
「・・・ついさっき言ったばかりだがお前が引く気はないといった様子は前の私達だったなららしいから仕方無い、微笑ましいといったように笑って折れていたことだろう。だがセフィロスと話をしていく内にそうすることを許すようなことをするのは良くないと思うようになったんだ。もしそれを許してしまえば謝るだとか自分がこうしたいからで以降も何かあれば同じような事をして通すことをするだろうとな・・・」
「だからそういったようなことをしようと選択した時に新ちゃんを止めるべきだって話になったの・・・ここで新ちゃんを突き放すのもそうだし小五郎ちゃん達を利用させないようにしないといけないとね・・・」
「そしてそういうように二人が考えたということから、俺が動くと決めた訳だ・・・君の事を後始末にかかるためにね」
「あ、後始末!?ま、まさか父さんも母さんも俺を殺すつもりだって言うのか!?」
二人はそのままの様子でいかに考えたのかを語っていきセフィロスがだから動いたと言うのだが、そこで後始末と出たことにたまらず新一は焦りに声を上げながら身をよじらせるが・・・大人と子どもの体格に力の差から顔だけは動くが、体自体は揺るぐことはない。
「落ち着け、殺すようなことはしない。ただこの事に関してを俺の所属する機関に二人の話も交えて報告した結果として、お前を然るべき場所に引き渡すことにしただけだ」
「はっ!?」
「何故だという反応だが、本来事件に巻き込まれたなら警察といった機関へ連絡するのが普通だろう。しかし奴らに関しては表沙汰に出来ないことはいくらでもある上で、お前の身の上についてを明らかにしたなら間違いなく面倒なことになることはいくらでもある・・・そういった危険性も話し合った結果として、お前の身柄を秘密裏に受け入れてもらえる所に引き渡すべきだとなったんだ。これ以上お前を自由にさせるべきではないと判断されたことでな」
「なっ・・・!?」
そんな抗いを一切苦にした様子もなく違うと否定を返すが、その狙いが何かをセフィロスから話されて新一は絶句した。完全に世間から自身を切り離すという中身に。









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