恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 前編
「どういうことだと思っているようだが、要は自分で金を稼いでもいない新一に私達が向こうで暮らしたいから新一はこちらで暮らしたいからということで一人日本に残すのはまだしもにしても、一人で暮らすには十分以上の金を渡すのは良くないと言われたんだよ。本当に一人で大丈夫だというなら新一が稼いだ金だけで生活させるようにしろとね」
「はっ!?な、何でそんなことになるんだよ!?」
「これは彼が日本人ではなくて向こうの慣習に慣れた人だからという部分もあるから考えたことだと言っていたが、日本と違い向こうで大学に通うと決めるなどして一人立ちをする際は、家を出ることもそうだがその学費や生活費なども自分で稼ぐといったように動く場合が多いとのことだ。だから向こうでは大学に入学出来たなら何年か留年して自分で金を稼いで、大学の費用を稼いでから改めて大学に通うといったやり方も珍しくはないとのことだが・・・まぁそこは向こうでも絶対にそうするべきだと決まっている訳じゃないが、私達家族に関しては時期が早すぎたと言われたんだよ。高校に入ると選んだ上で自分で金を稼いだことも稼ぐことも考えてないような子どもに対し、立派な家を使わせて一人で暮らさせる事は良くはない・・・それこそ金を自由に与えて苦を経験させず、何不自由ない暮らしをさせたことは尚更に良くないとね」
「っ!?」
だがそんな新一の戸惑いなど気にしないとばかりにどのようなことを言われたのか・・・それらを順序立てて話していった優作に、新一は顔を青くしながら目を見開いた。
「・・・そういったことを言われて、初めは私達も否定したかったよ。私達に新一は納得済みでこういった生活をすることにしたのだし、これでいいのだというよう・・・」
「でもそういった事を聞いて私達二人だけで話をする時も、私達が間違ってるって思うようになっていったのよ・・・私達がこういう生活を送るようにするのはせめて新ちゃんがどういう形でも働きだして、自分の稼ぎで暮らせるようにしてからの方が良かったんじゃとね・・・」
「そしてそういったように考えていく内に次第に私達がそうしたかったからというのがそもそもの原因だというのは確かではあるが、だからこそ私達は日本に帰るべきだと思ったんだ。この一年程の時間はもうやってしまったことは取り返しがつかないが、だからといってこのまま海外での生活を続けるために新一に高校に行く為の金を始めとして、全部自分で稼げと突き放すのは流石に無茶苦茶だと思ったから私達が日本に帰ってせめて一人立ちをするまで共に暮らすべきだとね・・・だがそうして帰ってきてみれば、新一がこうなっていたというわけだ」
「ぅっ・・・」
そうして二人がいかに自分達が苦悩と共に考えてきたのかを話していくのだが、最後に新一を見て首を横に振る様に新一は苦しそうに声を詰まらせた。理由の中身を受けたからではなく、理由を言い終わり自分の体の事になった事を感じて。
「・・・お前の言いたいことというか、どのような事を考えているかは分かる。大方自分がそんな姿になったことに関して誰にも言わないままに進めて、自身を小さくした者達を捕まえた上で元の身体に戻りたかったのだろう。それで自分と博士以外には自分には何事もなかったというように見せ掛けたかったのだろうということもな。違うか?」
「そ、そうだよ・・・こんなこと軽々しく他の人に言わない方がいいって博士に言われたのもあって、他には誰にも何も言わないできたんだ・・・あいつらを捕まえるためにも・・・」
「・・・そういったことを言うだろうと考えた上でこれは先に博士にも言ったことなんだが、出来ることなら最初に私達に相談の連絡をしてもらいたかったよ・・・蘭ちゃんがウチに来てなし崩しに勢いで毛利さんの家に転がることにさせたという経緯も聞いたが、新一が小さくした男達を捕まえたいという気持ちのために毛利さん達を何も言わずに利用するくらいなら、私達に事情を説明して助けを求めてくれる方が断然に私達にとって良かったというのもだが、毛利さん達を利用するなんて道を選ばずに済ませられたかもしれないのにと・・・」
「「っ・・・!」」
そんな様子の理由の推測についてを言葉にしていく優作に新一がしどろもどろに返していくのだが、続いた阿笠も含めた判断と行動の仕方に複雑さを隠せないといった顔をしたことに二人は気まずげに視線を背けるしかなかった。そんなことはないと否定したい気持ちをいくら持っても、毛利親子を何も言わずに利用しようと決めて動くと決めたのは紛れもない事実だった為に。
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「はっ!?な、何でそんなことになるんだよ!?」
「これは彼が日本人ではなくて向こうの慣習に慣れた人だからという部分もあるから考えたことだと言っていたが、日本と違い向こうで大学に通うと決めるなどして一人立ちをする際は、家を出ることもそうだがその学費や生活費なども自分で稼ぐといったように動く場合が多いとのことだ。だから向こうでは大学に入学出来たなら何年か留年して自分で金を稼いで、大学の費用を稼いでから改めて大学に通うといったやり方も珍しくはないとのことだが・・・まぁそこは向こうでも絶対にそうするべきだと決まっている訳じゃないが、私達家族に関しては時期が早すぎたと言われたんだよ。高校に入ると選んだ上で自分で金を稼いだことも稼ぐことも考えてないような子どもに対し、立派な家を使わせて一人で暮らさせる事は良くはない・・・それこそ金を自由に与えて苦を経験させず、何不自由ない暮らしをさせたことは尚更に良くないとね」
「っ!?」
だがそんな新一の戸惑いなど気にしないとばかりにどのようなことを言われたのか・・・それらを順序立てて話していった優作に、新一は顔を青くしながら目を見開いた。
「・・・そういったことを言われて、初めは私達も否定したかったよ。私達に新一は納得済みでこういった生活をすることにしたのだし、これでいいのだというよう・・・」
「でもそういった事を聞いて私達二人だけで話をする時も、私達が間違ってるって思うようになっていったのよ・・・私達がこういう生活を送るようにするのはせめて新ちゃんがどういう形でも働きだして、自分の稼ぎで暮らせるようにしてからの方が良かったんじゃとね・・・」
「そしてそういったように考えていく内に次第に私達がそうしたかったからというのがそもそもの原因だというのは確かではあるが、だからこそ私達は日本に帰るべきだと思ったんだ。この一年程の時間はもうやってしまったことは取り返しがつかないが、だからといってこのまま海外での生活を続けるために新一に高校に行く為の金を始めとして、全部自分で稼げと突き放すのは流石に無茶苦茶だと思ったから私達が日本に帰ってせめて一人立ちをするまで共に暮らすべきだとね・・・だがそうして帰ってきてみれば、新一がこうなっていたというわけだ」
「ぅっ・・・」
そうして二人がいかに自分達が苦悩と共に考えてきたのかを話していくのだが、最後に新一を見て首を横に振る様に新一は苦しそうに声を詰まらせた。理由の中身を受けたからではなく、理由を言い終わり自分の体の事になった事を感じて。
「・・・お前の言いたいことというか、どのような事を考えているかは分かる。大方自分がそんな姿になったことに関して誰にも言わないままに進めて、自身を小さくした者達を捕まえた上で元の身体に戻りたかったのだろう。それで自分と博士以外には自分には何事もなかったというように見せ掛けたかったのだろうということもな。違うか?」
「そ、そうだよ・・・こんなこと軽々しく他の人に言わない方がいいって博士に言われたのもあって、他には誰にも何も言わないできたんだ・・・あいつらを捕まえるためにも・・・」
「・・・そういったことを言うだろうと考えた上でこれは先に博士にも言ったことなんだが、出来ることなら最初に私達に相談の連絡をしてもらいたかったよ・・・蘭ちゃんがウチに来てなし崩しに勢いで毛利さんの家に転がることにさせたという経緯も聞いたが、新一が小さくした男達を捕まえたいという気持ちのために毛利さん達を何も言わずに利用するくらいなら、私達に事情を説明して助けを求めてくれる方が断然に私達にとって良かったというのもだが、毛利さん達を利用するなんて道を選ばずに済ませられたかもしれないのにと・・・」
「「っ・・・!」」
そんな様子の理由の推測についてを言葉にしていく優作に新一がしどろもどろに返していくのだが、続いた阿笠も含めた判断と行動の仕方に複雑さを隠せないといった顔をしたことに二人は気まずげに視線を背けるしかなかった。そんなことはないと否定したい気持ちをいくら持っても、毛利親子を何も言わずに利用しようと決めて動くと決めたのは紛れもない事実だった為に。
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