恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 前編

「そう納得してくれたならいいと言いたいんじゃが、事情を聞いた二人は学校が終わったらすぐに新一君と会って話がしたいと言ったから、わしが迎えに行くと言ってこうして迎えに来たんじゃ・・・二人が迎えに行くとどういうことだとなることもそうじゃが、何も言わなかった分せめて少しでもやらないといけないと思ってのぅ・・・」
「・・・そういうことか・・・でもそうなると、これから二人と会わないといけないってことなのか・・・」
「今言ったが優作君達はしばらく日本で暮らすようだから、遅かれ早かれ二人が戻ってきたことは毛利君達も知ることになるだろう。それを考えれば早い内に会っておくべきじゃ」
「くっ・・・避けられないことだってのか・・・」
更に嫌だというように言おうが状況的に二人に会わなければ色々と面倒になることを阿笠が口にすれば、新一は否定出来ないと嫌そうに顔を歪めながら視線を下に向けた。二人と普通に会うだけなら新一も否定はしないが、今の体で会いたくないというのと話の中身が予測出来るからこそ面倒になるのが予想が出来て・・・




















・・・そうして二人と会うことに乗り気ではない新一を乗せて阿笠の車は阿笠の家に到着し、気が重そうな新一と共に阿笠は工藤の家に入った。



「・・・久し振り、と言っていいのか・・・話には聞いていたが本当に体が小さくなったのだな、新一・・・」
「新ちゃん・・・」
「父さん・・・母さん・・・」
・・・工藤邸のリビングにて。
そこに入ってきた二人と話を済ませた優作と有希子が複雑さを滲ませた様子を浮かべ、さしもの新一も強がりも言えずに視線を背けるしかなかった。
「・・・もう起きてしまったことは仕方無い。取り敢えず今から今後の事についてを話し合おう」
「こ、今後の事って、ちょっと待ってくれよ父さん・・・そもそもどうして父さん達は日本に帰ってくることにしたんだよ?」
「・・・本当ならお前の事から話したかった所だが、今のお前の状況から考えればその事から話した方がいいだろうな」
「えっ・・・?」
ただすぐに表情を引き締め今後の事と口にする優作に新一は動揺しつつ先に自分が聞きたいと言うが、どこかしらでその話題をするのを後回しにしたいといった雰囲気を感じる中・・・むしろ重くちょうどいいと返す様子に、戸惑いを浮かべた。
「・・・時間にして言えば四ヶ月少し前というくらいに、私達はとある事件である人物と出会った。そしてその事件でその人物と交流する事になったのだが、そうして交流するうちに私達は言われたんだ・・・貴方達は子どもを含めて今の生活を行う事がいいと判断したようだけれど、それは子どもの事を思えば親としては望ましくないことではないかとな」
「なっ・・・そ、それって今の俺の状態の事を見て言っているのか・・・!?」
「そこに関しては一つの結果というだけと言ってはならないと思うが、あくまでも言われたことの延長線上の結果というだけでしかない。私達が言われたのは本当に新一に一人暮らしをさせるならもう少し歳を取ってからというのもそうだが、本当に一人で大丈夫であって一人前の大人というように扱うなら、私達が新一の為の金を一切やらないべきだったという事だ」
「・・・えっ・・・?」
そんな様子を見ながら優作が何を言われたのかについてを話し出す中で新一がたまらず声を上げるが、そうじゃないと歳以上に金の事と口にしたことに意味が分からないと戸惑い困惑の声を漏らした。何でそんなことが出てくるのかと。









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