恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 前編

・・・そういった会話をした後に三人は空港を出てタクシーに乗り、工藤邸へと向かった。だが・・・






「・・・あら?家の明かりが点いてない?」
「新一はもう休んでいるのか?それともまたどこかに行っているのか?」
・・・それで工藤邸に辿り着いてタクシーから降りた三人。
だが門の前で家の明かりがない様子に優作に有希子はどういうことかと漏らすが、優作は一つ頷く。
「すまない、有希子。君は一先ずセフィロスと共に家に入って部屋に彼を案内し、荷物を置いてきてくれ。私は明かりを見る限りでは阿笠博士は家にいるだろうから土産を渡すついでに少し新一について知っているか話をしてくる」
「分かったわ」
優作はそこからどうするかの指示を有希子にしていき、その中身が妥当だということから有希子もすんなりと頷く。
(・・・何かあまりいい予感がしないな・・・)
そのやり取りを見ていたセフィロスは良くない事があるのではと感じていた。今までの経験上あまりいいことが起きるような雰囲気は感じないと。




















・・・そうして有希子の案内の元で工藤邸へと入り、部屋に案内された後でリビングで二人は優作が戻ってくるのを待っていたのだが、すぐに戻るかと思っていたのに結構な時間を待つことになった。



「・・・すまない、待たせた」
「・・・何かあったんですか?中々の時間を話し込んでいたのもそうですが、何かあったというような表情ですが」
「・・・少し、いやかなり予想外の事が新一に起こった事を博士から聞いたんだが・・・博士が言うには自分以外に初めて私に話したらしいんだ」
「えっ・・・どういうこと?」
「それだけ新一の身に起きた事が大事なことだということもあるが、二人の間で秘密にしないといけないといった空気になっていたからだそうだ。主に博士が新一に慎重に行くためにもとのことからと・・・ただそうしていく内に私達が帰ってくることが無かったから私達に連絡をすることが頭になかったとのことだった」
「・・・ちょっとそれは話の感じを聞くと、博士にも新ちゃんにもどうかと思っちゃうけれど・・・」
「この辺りは私達が日本から出ていたのも理由にあるからだろう・・・二人、特に新一は私達がいない生活に慣れていく内に何かあっても私達に報告や相談といったことをする選択肢が、二人の中から自然と無くなっていったのだろうな・・・」
「っ・・・それも私達が日本を離れた影響なのね・・・」
・・・そうしてしばらくして優作が阿笠の家から帰ってきたのだが、明らかに複雑さを滲ませたその様子にどうしたのかとセフィロスが声をかけ、阿笠と話し合ったことと自分達のやったことについてを話す様子に有希子は苦い様子を浮かばせる。今の状況は自分達のせいでもあると。
「・・・話を戻しますが、肝心な事として一体何があったんですか?二人の子どもに」
「っ・・・確かに何があったかは聞いてなかったわね・・・」
「・・・分かった、今からその事について話そう。ただ今言ったよう普通なら信じられない事になるが、嘘ではないと博士は言っている。だからその事を念頭に置いて話を聞いてほしい」
セフィロスはその空気の中で敢えて先を聞きたいと口にして有希子もハッとしたようになる中で、優作は話をすると前置きから始める。新一に何が起きたのかを・・・



















・・・それで優作は阿笠から聞いた話をしていくのだが、二人はその中身に程度の差はあれ信じがたいと表情を歪めるしかなかった。要約すれば新一はとある事件が起きてその容疑者になった人物達を怪しんで追ったところ、怪しい取引現場を見たがその内の一人に襲われた後に怪しい薬を飲まされて殺されたかと思いきや・・・その薬の効果から体が小学生低学年並に小さくなり、何とか家に帰ってきた所を阿笠と出会って事情を説明した上でその事件で一緒にいた蘭が来訪したことから、場の空気に合わせて行動したことから正体を隠したまま蘭の所に行って、自分を小さくした男達を追うために活動しているのだと聞いて。









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