恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 前編

「貴方と話すまでは新ちゃんなら大丈夫だというように思っていたし、たまに日本に帰ったり電話をしたりして話すとむしろ今の方が楽しいといったような様子だったから、これでいいと思ってきた・・・けれど貴方の言葉を聞いてからその様子を思い返す度にこうして日本の家を出たのは、あの子の為になってなかったというように思うようになっていったの・・・」
「そして私も有希子と話していってそう考えていくと共に、自分達も良くなかったと思うようになっていったんだ・・・私達も私達で自分達の欲求に従いすぎていて、新一の事を考えていなかったのだとね」
「それで日本に戻ると決めたのでしょうが・・・話に聞く子息の性格から一時ではなく、本格的に帰ると言って納得をすると思いますか?」
「そこは確かに苦労はするのは想像は出来るが、君から言われた言葉を応用して話をさせてもらう。勿論新一は何で今更と言うだろうし心配はいらないと言うだろうが、その話をすれば嫌でも頷かざるを得ないだろうから問題はないと見ているが、今日君を呼んだのはその話をすることもそうだが・・・そのきっかけをくれた礼として日本に共に行かないかと誘うためなんだ」
「日本に、ですか?」
二人はそのまま話を続けていくのだが、優作が日本に共に行こうと微笑を浮かばせて告げた事にセフィロスは予想していなかったと意外そうな様子を浮かべた。
「何、君の上司から言われたんだ。少し君は働きすぎているからどうにか息抜きさせてもらえるようなアイデアはないのかとね。それで今回君に世話になったこともあって一緒に日本に行こうと誘おうと思ったんだ」
「勿論こっちから誘ったから飛行機の料金はこっちが払うし、日本にいる間はウチを自由に使ってもらって構わないわ。むしろそれくらいはしないと私達の気が済まないもの」
「・・・話は既に進んでいるということですか。ただ俺が貴方達の家を使うとなれば、貴方達が戻ってくるきっかけになった俺をその子どもは歓迎しないと思いますが?」
「まぁ新一としては君を心から歓迎する気にはならないのは私にも予想はつくが、それでも私達が招いた客なのだからと不満を抑えるくらいはするだろう。いくらなんでも君に食って掛かるような事はしないはずだ」
「・・・分かりました。そういうことならその日本行きに俺も付き合いましょう。前々から休みを取るようにと言われていましたから、ちょうどいいですからね」
そんな様子に二人は明るく大丈夫だというように話していき、新一の事が気になると返すセフィロスだが大丈夫と返す優作に決心がついたと頷いて返した。共に日本に行くと。




















・・・そうしてセフィロスも付き合う形で優作達の日本への帰国に向かうことにした。ただ帰国するとは決めたものの住居を引き払う為の時間が必要と言うことから、一月程の時間を空けてという形でだ。

そうして一月程の時間が経って三人で日本に向かう飛行機に乗って、無事にトラブルもなく空港に辿り着いた。






「・・・日本に着いたのはいいんですが、二人の子息は迎えには来ていないんですか?」
「それに関しては事前に連絡をしていたら新一の事だから帰ってこなくていいと、むしろ私達が帰ってくる事を拒否しようとしていただろうから帰ることに関しては言っていないよ。というより帰ると報告をしてる時でもしない時でもどちらでも帰った時の新一の反応はあまり芳しくないんだ」
「新ちゃんからしたら私達がいなくて自由にやれてる生活が楽しいから、早くアメリカに戻ってほしいと考えてるんだと思うけれど・・・嫌がられるのは予想はつくけどもうそこは気にしないでいくわ」
「そうですか」
・・・そうして空港のロビーに降り立つ三人だがセフィロスは新一の姿がないことを確認しつつ二人に声をかけるが、予定通りだし覚悟は既に決まっているといった様子に納得した。どうせ先に言っても歓迎はされないのだしごねられるのは目に見えているから、もういっそ何も言わずに帰る方がいいと見たと。









.
3/25ページ
スキ