恵まれた環境にあれば完全なヒトとなり得るか 前編
・・・かつて英雄と呼ばれた伝説のソルジャー、セフィロス。だが彼の名は星を壊そうとした大罪人として人々に認知される事になった。自身の出生から始まる好奇心を満たすための実験に、育ての親が勘違いを悟ったことにより失踪し、親友達の事実と行動により弱りはて、そして育ての親の残した勘違いの過ちを真実だと思い込んだ事から星の者達を滅ぼさんとした事件により。
だが元来セフィロスはそんな星を壊そうとするような大それた人物ではなかった。ひとえにそうなったのはセフィロスに行った実験の為に植え付けた細胞が決して無視出来ない影響を及ぼしたからであり、その細胞によりセフィロスは必要ないと判断された記憶を捨てる事になって元々のセフィロスとはかけ離れた人物へとなっていったからだった。
しかしそんな風に捨てられていった元々の記憶は捨てられた場所で自我を持つことになり、元のほとんどの記憶と人格を持ったセフィロスと元の記憶などほとんど持たない見た目だけが同じのほぼ別人と呼べるセフィロスの二つに人知れず分かれていたことは、別人のセフィロスですら知らない事であった・・・二度目に別人のセフィロスが倒された後、とある二人に事実を話して生まれた星から完全に消え去り、違う世界へと生まれ変わったことも・・・
‘‘‘‘っ・・・!’’’’
・・・アメリカのとある道路にて。
その一角を歩く一人の男性の姿に、道行く人々は目を奪われて立ち止まりながらその後ろ姿を見つめていた。シンプルに黒い靴にズボンに少し胸元を開けた白いカッターシャツといった服装自体は珍しくもない物だったのだが、2メートル近い長身に腰より長い銀髪をたなびかせ、不思議な色の瞳を持った尋常ならざる美貌を携える男だったことに目を奪われて・・・
「・・・やぁ、セフィロス。よく来てくれたね」
「仕事のし過ぎだから少し休んでくれと言われていた所でしたから、ちょうどいいタイミングでした。気にしなくて構いませんよ」
・・・そうして男、いやセフィロスが訪れたのは今はアメリカに居を構える工藤夫妻の家であった。
中に入り互いに微笑を浮かべ握手を交わすセフィロスと優作はすぐに備え付けられたソファーにテーブルを挟んで対面上に座る。
「それで、今日俺を呼んだ理由は・・・決心がついたんですか?日本に帰る決心が」
「・・・あぁ。有希子としばらく話し合って考えたのだが、君の言葉が効いてね・・・」
「えぇ・・・日本を出る前は新ちゃんが自分なら大丈夫だと張り切っていたのもあったから、この生活をすることにしたけれど・・・貴方と話していったことで新ちゃんを一人にするのは良くなかったのだと思うようになったから・・・」
それで早速とばかりに自分が呼ばれた理由についての推測を口にするセフィロスに、優作もそうだがその隣に座る有希子も複雑さを滲ませた様子で肯定して返した。セフィロスの話から日本に帰る決意が固まったと。
・・・セフィロスと優作夫妻が出会ったのは遡ること3ヶ月程前の年末のとある事件になる。その事件にたまたま関わることになったセフィロスだが、そこに居合わせた優作夫妻というか優作の活動により事件は解決してそれ以降にセフィロスは二人に気に入られたことによりちょくちょくと会うようになったのだが・・・そうして会う中で二人と話をしていったのである。現在日本に残してきた二人の子どもである新一についてをだ。
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だが元来セフィロスはそんな星を壊そうとするような大それた人物ではなかった。ひとえにそうなったのはセフィロスに行った実験の為に植え付けた細胞が決して無視出来ない影響を及ぼしたからであり、その細胞によりセフィロスは必要ないと判断された記憶を捨てる事になって元々のセフィロスとはかけ離れた人物へとなっていったからだった。
しかしそんな風に捨てられていった元々の記憶は捨てられた場所で自我を持つことになり、元のほとんどの記憶と人格を持ったセフィロスと元の記憶などほとんど持たない見た目だけが同じのほぼ別人と呼べるセフィロスの二つに人知れず分かれていたことは、別人のセフィロスですら知らない事であった・・・二度目に別人のセフィロスが倒された後、とある二人に事実を話して生まれた星から完全に消え去り、違う世界へと生まれ変わったことも・・・
‘‘‘‘っ・・・!’’’’
・・・アメリカのとある道路にて。
その一角を歩く一人の男性の姿に、道行く人々は目を奪われて立ち止まりながらその後ろ姿を見つめていた。シンプルに黒い靴にズボンに少し胸元を開けた白いカッターシャツといった服装自体は珍しくもない物だったのだが、2メートル近い長身に腰より長い銀髪をたなびかせ、不思議な色の瞳を持った尋常ならざる美貌を携える男だったことに目を奪われて・・・
「・・・やぁ、セフィロス。よく来てくれたね」
「仕事のし過ぎだから少し休んでくれと言われていた所でしたから、ちょうどいいタイミングでした。気にしなくて構いませんよ」
・・・そうして男、いやセフィロスが訪れたのは今はアメリカに居を構える工藤夫妻の家であった。
中に入り互いに微笑を浮かべ握手を交わすセフィロスと優作はすぐに備え付けられたソファーにテーブルを挟んで対面上に座る。
「それで、今日俺を呼んだ理由は・・・決心がついたんですか?日本に帰る決心が」
「・・・あぁ。有希子としばらく話し合って考えたのだが、君の言葉が効いてね・・・」
「えぇ・・・日本を出る前は新ちゃんが自分なら大丈夫だと張り切っていたのもあったから、この生活をすることにしたけれど・・・貴方と話していったことで新ちゃんを一人にするのは良くなかったのだと思うようになったから・・・」
それで早速とばかりに自分が呼ばれた理由についての推測を口にするセフィロスに、優作もそうだがその隣に座る有希子も複雑さを滲ませた様子で肯定して返した。セフィロスの話から日本に帰る決意が固まったと。
・・・セフィロスと優作夫妻が出会ったのは遡ること3ヶ月程前の年末のとある事件になる。その事件にたまたま関わることになったセフィロスだが、そこに居合わせた優作夫妻というか優作の活動により事件は解決してそれ以降にセフィロスは二人に気に入られたことによりちょくちょくと会うようになったのだが・・・そうして会う中で二人と話をしていったのである。現在日本に残してきた二人の子どもである新一についてをだ。
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