こだわり変えられない物に囚われ、様々な物がこぼれ落ちていく

その結論にどうしてそんな風に考えたのかについてを英理は聞いた。前に話したことからある程度二人も老後についてどうするか考えてきたのだろうが、日本に帰らないと決めたことに関しては意外だということでだ。他の事に関しては言ってはなんだが今まで優作が小説を書いて稼いだ金の事を考えれば、家や土地を相続させてある程度の金もつけても自分達のその後の余生を生きるのは余裕だろう事から、やれて当然だと思ったために。

その問い掛けに優作達は複雑そうな顔をしつつも、英理に言われたことを考えたのもあるが新一達の関係について今も変わらないことが最もな理由だと返した。自分達が日本に帰ってどうにか二人の仲を取り持つみたいなことも英理の言葉から考えはしたが、度々日本に帰ってきて新一達の様子を見ながら話してきたが・・・結局その結果として新一達は変わらないままに動いてきたことやその考えを聞いたことで、あの家に戻ることはおろか近くに家を買うなどして暮らしても二人の状態の解決手段にはならないどころか、新一には父さん達がいるから自分が帰らなくていいという言い訳を作って、蘭ちゃんには時間があるなら愚痴を話す為の相手にならざるを得なくなる・・・という甘えを作る未来が有り得ると見たから、いっそ今のうちにもう自分達は日本にはたまに帰っては来るけれど、生前贈与も済ませて帰らないと告げる形でもう新一達だけでどうにかしろとするようにと決めたと。

その中身に関して英理は本気で二人の事態の解決の為に動いたのかということを突き詰めたい気持ちになった上で、結局面倒を避けるために日本に帰らないと選んだのかと言いたかったが・・・そこに関しては黙ることにした上で選んだ結論自体は英理としてもありがたいというものだと思った。下手に二人が余計な事をする事がなくなったということに加えて生前贈与をして海外に骨を埋めるという本気を感じさせるその決意と姿勢に、これで優作達の事で悩まずに済むと見たためだ。

ただそれを後で反故にされたくないと見た英理は念押しの為に時間を置かないようにしようとすぐに財産の贈与に強い弁護士を紹介すると切り出し、優作達もちゃんとした手続きを踏むのなら早い方がいいということから日本に滞在する時間を伸ばし、新一も呼び出す形で生前贈与の手続きを済ませてもらった上で日本から出ていったのであるが・・・その際に優作達がもうあの家は土地を含め完全にお前達の物だとか、日本に帰るのは最低限にするだけにするから自由にしろと言われたことに新一達は複雑さを隠せなかった様子だった。優作達と一緒に暮らさず自由に過ごしたいという気持ちが未だに強いのは確かではあるのだが、だからと言って最期を迎えるのは自分達がすぐに行けない海外でと決めたことは複雑だと。

だがそれでも優作達の意志が強かった事もだが何だかんだで将来的に日本に帰る可能性もあると新一達は楽観視したのだが、しばらくしてから英理と小五郎達が引っ越すと切り出したのであり、両家両親共に引き際の事を考えて動いたことや英理の言葉から、一人でいることの多い蘭が不安に駆られて今回の件に繋がったのである・・・本当に自分達はこのままで大丈夫なのかと。










.
26/30ページ
スキ