こだわり変えられない物に囚われ、様々な物がこぼれ落ちていく

・・・そもそも最初の内は新一と蘭が遠征のような形で大阪に来ることに関して、服部も和葉もその度に歓迎していた。年月が経っても二人が変わらないことや友達が会いに来てくれるということは嬉しいことだと掛け値抜きに思っていたことから。しかしそれがどうかというような気持ちになっていったのは服部が警察官として活動していって自由に時間を取れなくなったこともそうだが、和葉も子どもが出来たことから色々と母親として変わっていったことに加えて・・・恭弥という子どもがいるにも関わらず英理に預けることもそうだが成長してからは大丈夫だからと放置する形で、昔と変わらないままに二人が動いていたことだ。

服部は立場というか警察官というれっきとした公務員となったことで、探偵となった新一と違い自由に使える時間はほとんど無くなって警察官になる前のように時たま東京に気が向いたら行くなんて事はなくなった。ただ最初の内はただめんどくさいから有給を使うだったりやりたいことの為に仕事を抜け出したりなどといったヤンチャさの残るような行動を取ったりもしたが、和葉との間に子どもが出来た事だったり出世といった事をしていくにつれてそんな行動は次第に鳴りを潜めて落ち着いていくことになった。やはりこの辺りは一家の長としてもだが、仕事においても責任ある立場に立ったが故だ。

それで和葉は子どもを授かることになって自由に動けない時間は確かにあったものの、服部は仕事が忙しい部分はある程度は仕方無いとは見られたがそれでも空いた時間は子育てに協力するだったり、出世していく立場もあって何日も使っての遠出に外泊は無いにしても、近場でショッピングをしたりといった家族サービスの時間を取ったりしたことで不平不満といった物は起きなかった。この辺りは服部が自身の立場だったり出来ることを考えたが故にやれることをやったからなのだが、そういった立場だったり丈に合った行動に元から服部を好きであるから和葉は満たされることになったのだが・・・そうした生活を送る中で時たま会う新一達の活動の仕方は、次第に和葉もそうだが服部の目から見ても異質な物と映るようになっていった。

最初警察官になってからは服部も新一のような生活や働き方に羨ましいといったように漏らしたり思ったものだった。警察に入る道を選んだのは親の影響が様々にあったからであるが、服部は新一と対比されるような形で西の高校生探偵と呼ばれていたくらいには探偵活動を行っていた。だからというか行動に自由がきかない警察官より探偵になろうかと一時は思ったこともあるくらいだが、それでも親の影響もあったが故に警察官になると決めたのだ。

だから自由に探偵としてやりたいことをやれている新一を羨ましいと服部は思い、和葉も蘭の事をいいなと思うような形で見ていたのだが・・・次第に時間が経つにつれてそんな生き方をずっと続けていく新一達の事をどうかと思うようになっていったのである。主にあまりにも昔から変わらないことにだ。

一応というか友達だと思うからそれは嬉しいというのは確かだった。機会があれば交流しようとしてくれる事は。だが警察官と探偵の仕事の体制が違うし決まって毎月来るというような事はなかったが、それでも依頼で大阪に来れば確実に服部達にも連絡してきていたのだが・・・それらのことごとくでお前も探偵になればいいのにだとか、あの頃はお前達も自由で楽しかったといったような事ばかりを言ってきたのである。さも服部が警察官になったのが面白くなくて、探偵なら自分と同じように楽しくやれたのにというようにだ。

これが警察を馬鹿にしてといった気持ちからではないことは服部達にも分かっていた。新一達からすれば昔を思い返してあぁ良かったなといった懐かしむ気持ちからの物だと・・・だが会えばそういったように口癖のように言ってくる新一達に、高校の頃から好き勝手してる延長線上の活動をしているだけだろうという気持ちを次第に抱いていったのである。確かにそういったような事を全く考えなかったかと言われれば嘘になるが、だからと言って今の生活を全否定するような気持ちまでは無かったために。









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