こだわり変えられない物に囚われ、様々な物がこぼれ落ちていく

『もうあの二人はいい大人というような年齢なんて二十年以上前にはとっくに越えているどころか、十年経てば還暦を越えるくらいの老齢の身よ。そんな歳で恋愛をするなとは言わないけれど、それはあくまで結婚してない自由の身であるならまだしももう三十年近くも結婚して時間の経ってる身で、相手の事が好きだからで周りを巻き込みながらどうにか自分の為にと相手をどうにかしたいというように互いが互いというように振る舞っている・・・こんなものにこれからもずっと付き合いたいなんて思わないし、私達もいつまで元気でいられるか分からない身の上だということや、新一君に至っては実の子どもである恭弥にどうにか自分達を仲直りさせてくれと親として甘えてきている・・・こんな大人としても親としてもあまりにも甘えきった物にもう私達は付き合わないし、もうこちらを巻き込むなと言わせてもらうようにするわ。ろくでもない結論が出たり、これまでのように先送りにするといったような事を言うようならね』
「その方がいいと思います。それに一時は別れるのかどちらかが折れるかといったおばあ様がこれならまだいいと言えるような結論が出たとしても、またいずれ父さんの気持ちからそれが変わるか可能性はこれからも否定は出来ないでしょう・・・その辺りの父さんの探偵として推理や事件に関わりたいという気持ちは筋金入りどころではありませんからね」
『確かに新一君なら最初はどうにか我慢するとは言っても後でそういったことになりそうなのは目に浮かぶし、そうなったら元の木阿弥どころの話ではないわね・・・分かったわ。その辺りの事が起きてこちらに何か面倒が起こらないようにと話をするようにするから』
英理はそのままの様子で二人の事をちゃんと終わらせるといったように話をしていき、その決意はもう揺らがないというように声を上げていく様子に恭弥は眉を寄せる。
「・・・おばあ様は自分だけでといったように言っていますが、僕もその場に行きましょうか?話を聞いていて、おばあ様だけに全てを任せていいものかと思ったのですが・・・」
『その気遣いだけで十分よ。というよりもうこの際だから言わせてもらうつもりでいるから、貴方がいると少しややこしくなるのよ・・・蘭は今の生活で大分感じてはいるだろうけど、今の時点で自分達の行動や考え方を改めないなら本当にもう誰も寄り付かない余生が待つことになるとね』
「あぁ、そういうことですか」
そこで恭弥は自分も申し訳ないこら参加すると切り出すのだが英理が返してきた答えに、納得といった声を漏らした。誰も寄り付かない余生との言葉に。






・・・前に蘭の元から園子以外の旧友が軒並み離れていったというように言ったが、その時から時間が経って今もそういったような状況は続いていた。むしろ状況は更に悪化する形となる形でだ。これは園子が歳を取って更に忙しくなったこともそうだが、近くにいない友達代表と言える服部夫妻との関係の変遷があったからである。

服部夫妻とは高校の頃の縁から時たま会ったり電話したりといったような事をしてきて、大阪という遠く離れた場所にいながらも楽しく交流してきた。ただそれも大学卒業と共に結婚や妊娠に出産といったイベントが重なったこともそうだが、服部が新一とは違い探偵にならずに親の後を追うように警察官になってからはその交流は前より少なくなっていった。

この辺りはやはり公務員という形で警察の職務に殉ずる事を選んだ服部の立場を考えれば致し方ないことであって、新一達もそうした道を選んだことは否定はしなかった。頻繁に会えなくなったことも含めて。ただそれでもたまに新一に依頼が来て大阪に行くような事があれば時間を合わせて会うような事は度々してきたのだが・・・その関係性は少しずつ変わっていった上で、明確に服部達との関係が変わった出来事が何かと言えば新一の元を蘭が初めて離れた事になった一件であった。









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