こだわり変えられない物に囚われ、様々な物がこぼれ落ちていく

「・・・ただ一応言っておくけれど、貴方達に別れて欲しいかどうかとか僕にはそんな気持ちはないよ。けれど風紀財団の仕事で夫婦問題に関しても扱ったことがあるが夫婦問題は家族なら多少は言うことを聞けたとしても、結局は当事者同士が納得しなければ夫婦問題の解決にはならない事は経験上よく知っている・・・そういった経験もあるからもう貴方達当人で話し合って欲しいし、離婚を選ぶならそういった結果として受け入れるつもりだというのもだが、離婚が選択肢に上がらないままだったら貴方達の性格もあって結論が出ないままズルズル行くと見て言ったんだ。母さんからしたら貴方が言うことを聞かないならもう離婚をした方がまだスッキリするとなるだろうし、貴方からしたらいっそ離婚をして一人になった方がもう後の事を考えずに動けなくなるまで探偵を続けられるとね」
「そ、それは・・・」
「貴方がそんなことをしたいかしたくないかはもう問題じゃない。貴方達の間の問題に関してを本当に解決したいならの手段の一つを僕は口にしただけであると共に・・・もう僕もそうだが、おばあ様達も貴方がこうしたいということからのゴタゴタに巻き込まれる事に関してウンザリしてるんだ。だから出来るならこの件でどうするかの結論を出してほしいし、そうでなくてももうこっちを巻き込まないでほしいんだよ・・・探偵としての立場や仕事の仕方と母さんの気持ちのどちらもをキープしたいといった、両手に花といった都合のいい状態を諦めたくないというようなワガママにね」
「っ!!」
その上で一応は恭弥は別れろと言っている訳でも望んでる訳でもないとは言うのだが・・・最後にもう都合のいい状態を望むなと吐き捨てるように言い放った事に、新一は反射的でいて瞬時に顔色を青くして呆然と目を見開きうつ向いてしまった。あまりの衝撃を受けたと容易に分かる様子で。
「・・・じゃあね、父さん。ご馳走になったよ」
「・・・」
そうして恭弥は冷たい視線と言葉を残して場を後にしていくのだが、新一は引き留める言葉どころか視線すら向けることが出来ないままに静止しているだけであった・・・



















・・・そうして料亭から出た恭弥は駐車してあったバイクの前に来たのだが、そこで内ポケットから携帯を取り出し操作した後に耳に当てる。
『・・・もしもし』
「もしもしおばあ様。今父さんとの話し合いが終わりました。どういった話をしたのかをまずは説明します」
『頼むわ』
それで何コールもしない内に電話に出た英理の声に、早速とばかりに恭弥が説明と切り出したことにすんなりと受け入れた。


















「・・・というように話して僕は父さんの元を離れて電話しました」
『そう・・・貴方から話を聞いた時は無理に新一君に付き合わなくていいと言ったけれど、そう聞くと敢えて行くと言った貴方の判断は正しかったと思える上で、よくそこまで言えたわね』
「下手に言い訳をつけて距離を取ろうとしてもあの人が諦めると思えなかった上で、どうせなら言いたいことを言おうと思っただけです。特に最後に言ったようにもうどちらもキープしたいという都合のいい考え方を止めろと」
『・・・確かにそれは言っておいた方が良かったでしょうね・・・新一君が諦めが悪かった理由の大半は間違いなくそういった考えからだと今なら思えるから・・・』
・・・それで一連の流れについてを恭弥は話し終わった上で英理を話していくのだが、電話越しにでも新一に対して呆れを隠せないといった声が恭弥の耳に届いた。心底から新一に対しての気持ちがこもっていると分かるように。









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