こだわり変えられない物に囚われ、様々な物がこぼれ落ちていく

「そういった風に考えると還暦を越えるどころか活動出来るギリギリまで探偵として動くかもしれない貴方に、最悪還暦までは我慢出来てもそんな活動の仕方をするかもしれないと母さんが考えたなら、不安やら何やらといった気持ちを抱くのはある意味では当然だと思うよ。おばあ様達や真さん達のように後の事を見据えたようなことを考えていない様子に、このままでいいのかとなるような形でね」
「っ!・・・ら、蘭がそんなことを考えてたなんて・・・」
「それは逆だ。貴方がそういったことを考えなさすぎというか探偵として生涯現役であろうというように強く考えすぎて、他にどうするかというのを考えてないどころか放棄しているようにしか僕は思えてならないんだよ。明確に道が見えてそこを進むと決めたのならそうすればいいし、自分が生を終えるまで脇目も振らずまっすぐその道を歩み続けるだけだとね・・・そして母さんはそんな貴方が言ってもまず聞かないということを長年の付き合いで感じているんだろうが、それでも貴方にどうにか考え方を変えてほしいという気持ちもあるから苦心しているんだろうさ。今言ったように母さんの気持ち的には最悪還暦まではギリギリ我慢出来ても、それ以降になってもそんな貴方のままなら色々と耐えられないというようにね」
「ぅっ・・・!」
更にそこから恭弥がいかに蘭との考え方の違いがあるのかを話していき、それらの中身を受けて新一は苦しそうに言葉を詰まらせるしかなかった。恭弥の言葉が正しいのであればいかに蘭が苦しんでいるのかを、明確な言葉としての形で受けたことにより。
「・・・貴方は自分が間違っているのかと僕に聞いたね?なら答えるけれど間違う間違わない以前の問題だよ・・・貴方は答えを出してすらいない。ただ自分がこれでいいから今のままでいいだろうと現状維持をしてきただけで、何も選んですらいなかった。それだけだ」
「なっ・・・!?」
「予想外の答えを返されただとか、むしろ自分が間違ってたと言われたかったみたいなリアクションだね。その方が覚悟してたから受け止められたとでもいう感じにね・・・まぁ間違いだったと言われたいなら別に間違っていたと言っても問題はないとは思うけどね。結局の所として貴方は母さんの言葉や要望を受け入れることはなく、ただそのまま探偵として動き続けていた・・・それは言ってみれば母さんの言葉に目を向けてどうにか変わろうと欠片も考えてなくて選択すらしてなかったとも取れるし、この生活がいいから母さんの言葉を聞く気はないと選択していたというどちらにも取れるんだよ。ただ僕からしたら貴方が母さんの訴えを大したことないと振る舞っているというように思えたから、答えを出してすらいないと答えたんだ。母さんの言葉や訴えで変わろうなんて一片も考えるつもりも変わるつもりもないどころか、母さんならいつか分かってくれるとかまた同じように動いてくれるだとか勝手に思って答えることすらしてないとね」
「っ!」
そこでまた追撃とばかりに恭弥が先程の問い掛けについてを答えるのだが、予想を越える答えだと新一が絶句する様子にその理由を述べていくと盛大に息を詰まらせた。新一としては間違っていたと罵倒されるのを覚悟をしていた筈なのに、その気持ちを上回る事を言われてだ。









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