こだわり変えられない物に囚われ、様々な物がこぼれ落ちていく

なら何が面倒になるのかと言えばだが、それはこの十年以上という時間でも結局という形で新一の仕事に対する姿勢の改善は見られなかったこともそうだが、それでももう五十という年齢にまで差し掛かったことにより周りの同年代よりは見た目も体力も若々しくはあるが、それまでのようにずっと探偵として一つ所に留まらず活動し続ける事がキツくなってきたことにより、体のがたつきに不本意そうにしながらも新一が工藤の家に休息の為に帰ることが多くなったのである。流石にこの辺りは生物の摂理として寄る年波には勝てないといった所であった。

ただそんなやり方に一応蘭ももう腰を落ち着けてゆっくりしようと言ったのだが、案の定という形でそうしないということを告げられて悶着になったのを愚痴が長くなる前に聞いたことにより英理は知ったのだ。そしてだからこそ蘭としては英理達と同居ということでどうにか寂しさを紛らわせるだとか愚痴を言うだとかしたいと思っていたのだろうが、そんな思惑など透けて見えていたのもあってアッサリと却下したのである。そんなことになれば面倒にしかならないと分かっていると。

だから英理はそこで蘭の同居の要望を断るのだが、それだけではまた不満を溜め込みこちらに爆発してくるだろうからとこのように告げた・・・もう自分達は七十を越えた年齢となっていつまで生きていられるかもそうだが、体に不具合を持たないと保証も出来ないくらいに差し掛かってきている。本当にどうしようもないガタが自分達のどちらかに来たなら施設暮らしに小五郎共々移行するつもりでいるが、ここで貴女の言うよう同居なんてしたら老齢介護という形にズルズルとなりかねないから私達は引くのだ・・・と。

こう言われて蘭は衝撃を受けたように身を揺らした。新一同様年齢に見合わない若さはあると言えばあるがそれでももう五十という年齢を越えていて、十年も経てば例え健康であったと仮定しても八十以上の両親を六十以上の自分が介護する・・・未だにまだ若いつもりでいる蘭からしたら両親への想いがあるとは言え、そう言われたことはあまりにも衝撃的な事実だったのである。年齢として見れば老人が老人を介護するということは。

だが更にそこで新一の事を言われたことで、致命的な事を告げられたとばかりになり引く以外に出来なくなった・・・同居となっても新一が自分達の為にと仕事をセーブして共に暮らしてくれるとは今までの事もあって思っていない上で、仮に自分達が介護が必要な状態になったとしても新一は仕事があるならそちらを優先すると、介護は蘭一人がやる以外にならなくなる可能性は決して否定出来ないという言葉に。

・・・それまではまだ蘭と新一の問題であって、そこに英理達もどうにかならないかというように考えていたから、蘭も新一の活動の在り方を不満を持ちつつもある程度は仕方無いと見て長い間過ごしてきた・・・だが現実的な年齢やら将来のもしもについての可能性がやらが出てきたことは、蘭がそれらについてを全く考えてこなかった事を突き付けられたことに衝撃を受けたのである。両親は勿論そうだが自分達ももう老齢と呼ばれる年齢に差し掛かってきているということに。

そうして蘭が衝撃を受けた中で英理は帰ってしばらく時間が経つのだが、そんな時に新一から恭弥へと連絡が入った・・・久し振りに二人で会えないかと。









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