こだわり変えられない物に囚われ、様々な物がこぼれ落ちていく

その上で園子も含めた友人関係についてはどうなのかという話に関してだが・・・そもそもとして蘭は自分がいかに専業主婦という立場から見ればかなりどころではなく恵まれていて、自由であるのかについてを一切考えていなかった。昔ならいざ知らず今の時代では一般的な家庭では主婦は主婦だけやってればいいというような事を出来るような経済的な余裕があるところは少なく、パートなりで共働きを行う主婦は結構に多い。

だが蘭は新一の側の両親からの資金援助もあって蘭が働かなくても十分以上の金が懐の内に入ることに加えて、新一と共に活動するようになってからは主婦として家事すらほとんどしなくていいような生活を送ることが出来ていた。依頼の為に動き回る新一に付いていった事から寝食の為の場はホテルや旅館に依頼に関わる場であったりと、誰かが蘭達の世話をするのが当然というような場で大抵過ごしてきたからだ。

だがそんな風に一般家庭の人間がずっと過ごすなんて到底出来る筈なんてない。資金的な物は勿論として勤めている仕事の関係であるとか、意外と一般的な家庭から見たら馬鹿にならない要素として人の目というものがあった・・・仮に新一達のような生活をしたならその為の金はどこから出ているのかもそうであるし、何の仕事をしているのかといったような邪推をされることだろう。

その点で新一達がそう見られなかった理由は新一が探偵として動いていることは周囲から見ても公然であり当然の物と見られているからだが、そもそも一般的な家庭は探偵を職業とは普通はしないしましてや普通の探偵でもそんなどこそこと忙しなく動かないのである。

そんな普通の探偵はともかくとしても一般的な家庭が長期間家を空けても不思議ではないと見られるのは、精々がたまの旅行と盆休みであったり正月といった節目節目での行事くらいで、どう長く見積っても二週間がギリギリといった期間だ。それ以上となれば余程の理由でなければ周囲の視線だったり職場の都合だったりがあるため、まず一般的な家庭だったり働いている人に対する視線やらは厳しい物になるだろう。

だが蘭は新一と普通では有り得ないように行動を共にしてきた上で暇をもて余すようになってから、自分もこんなに時間があるのだし同じように時間があるだろう園子を始めとした友達に会いたいだとか話したいといったような風に気軽に連絡していくのだが・・・財閥の人間として忙しい園子は勿論だが、かつての友達はもう結婚して家庭を持っているか仕事に勤しんでいる事から、少しは時間は取れても蘭の満足出来るくらいの長時間は取れないということもだが・・・話の中身の大半が新一に対する愚痴に喜んで付き合う気になど揃ってなれなかったのである。

この辺りに関しては前述の理由もあるが、普通に考えて久し振りの友達からの連絡があったのに、長い時間の愚痴にわざわざ付き合いたいなんて思うような奇特な人物などいる方がおかしいのだが・・・だからこそ恭弥や英理もだが風紀財団に関係してる事もあって園子は蘭との関係を簡単に切るわけにはいかないが、それ以外の昔からの友達は然程連絡を取っていなかったのもあって揃って蘭が怒るのを考慮した上で、忙しいだとか時間がないからまた改めてと遠回しに言われることになって厄介者というように見られることになったのである。









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