こだわり変えられない物に囚われ、様々な物がこぼれ落ちていく

「・・・これで少なくともしばらくはあの二人はこちらに何かを言ってくることはない筈よ。流石にあれだけ言われて大して時間が経たない内にどうにかしてほしいと簡単にはね」
「後はそれが出来る限り長く続くことを期待したいところですね」
「そうね、本当に・・・」
・・・そうして新一と蘭の二人が英理と恭弥の元から離れた後の場にて。
英理が一息ついた上で恭弥が長く続く事を願うと、心底からの声を漏らす。二人にこれから大人しくしてほしいというよう。
「・・・これからどうなるかは分かりませんが、もう似たようなことが起きても僕は二人に関わるつもりはありません。特に父さんに関しては僕を騙した上で自分の為にどうにかしてくれと言うばかりで、自分の活動の改善をしようという素振りが見えませんでした・・・母さんが今になってあぁなった事は母さんにも責任が無いわけではないとは思っていますが、少なくとも父さんが今の活動を完全に改善する姿勢を取らない限りはもうどうしようもないでしょうし、最初はどうにか我慢はしても父さんの性格ではいずれ我慢がきかなくなるのは目に見えていますから、そんな父さんがもうしないと言っても信用することなんてとても出来ませんし、母さんも一度我慢が出来なくなった以上は遠慮なく苛立ちを覚えたら父さんと離れるでしょうから」
「・・・そうね。もう年齢だとか新一君の性格を考えると今のやり方を変えるなんて私も思えないし、蘭もそうなったら自重とか我慢なんかしてくれるとは思えないからその方がいいでしょうし私もそうするわ。その時に私が一度受け入れたなら蘭は以降に甘えに来るのは確実でしょうから」
「・・・僕は迷うことはありませんが、おばあ様はそうすると決めていいのですか?」
「構わないわ・・・もう私も決めたことよ」
そんな中で恭弥が二人に関わるつもりはないとハッキリ告げるのだが、英理も同意したことに本当にいいのかと聞くと迷いなど一切ない表情と声で頷いた。
「もう蘭達も四十を越えているし、私も六十を越えていて弁護士をどれだけ続けるのもだしいつまで元気でいられるかも分からないわ。でもあの二人は今でもまだくっつくかくっつかないかの時のような、今の年齢に見合わない幼い未熟な恋愛をしている・・・貴方という子どもを持った親でもあるというのに、貴方という子どもから見放されるなんていう馬鹿な行動を取られてもまだそれを止める素振りすらない・・・そんな蘭達にもう変わってほしいだとかちゃんとしろというように言うのももう馬鹿らしいと思ったのよ。むしろもう恭弥も関わる気はないと言ったのだから、後はこちらに関わってさえこなければいくらでも二人で恋愛ごっこをしていればいいとまでね」
「そうですか」
そんな様子のままに英理が二人の事を心底から見放すといった言葉を語っていったことに、恭弥はすんなりとそれらを受け止めた。そこまで言うならもう後は言うことはないというよう。
「ただ時間が経てば優作さん達が帰ってきて私達にどうにかしろと言ってくるだろうけど、そこは私が対応するわ・・・あの人達が日本に戻って最期を迎える予定でいるのか、海外で最期を迎える予定でいるのかは聞いていないけど、どちらにしても現場に立ち会わないだったり蘭達の事にろくに関わろうともしないだろうあの人達の文句をただ受けるつもりはないし、日本に戻る気があってもなくても貴方達がどうにかしろと言わせてもらうから」
「分かりました。その時になればおばあ様にお願いします」
しかしまだ優作達がいるがそれは自分がどうにかすると厳しく言い切る英理に、恭弥はすんなり受け入れた。恭弥からしても優作達はただ言うだけ言って終わりにしそうであるのは目に見えていて、言うだけ言いたいという気持ちは分かったために。









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