望むことばかりを望んできた末路

ただここでバイオハザードを発生させないようにというのは何故かと言えば、一番の理由は後始末やらが面倒になるからであった。そこにいた者達が感染するか殺されたとあっては捕まえた後に情報を吐かせて本来得られた筈の物が得られないというのもある上で、施設がウィルスに犯されたとなれば使えた筈の場所が少なくともウィルスの驚異が完全に消えたと判断出来るまで使えないどころか、ウィルスを完全に消し去る為に施設ごとの滅却処分までしないといけないこともあったのだ。

だからエージェント側としてはちゃんと手順を踏んだ上でトラブルがないままに終わらせたかったのであるが、それらを新一は自分が行動して主導したいという気持ちから台無しにしていくように動いていったのだ。結果的にウィルスを研究もしくは悪用していた施設や人物達はどうにか出来たというようには言えなくはないが、そのことごとくがバイオハザードが起きたという事に関しては自分のせいじゃなくて偶然だと宣う形でである。






(・・・それに聞けば日本で暮らしていてかなり小さい頃から事件やらに出会ってきたらしいが、それでもバイオハザードのような事はなかった筈なのにあれだけ工藤新一は生きることが出来ている・・・そう考えると一人の探偵として解決する事件だと見たから動けたんだろうが、バイオハザードは普通に起きる事件と同列にしていい物じゃない筈なのにな・・・)
更にレオンは新一の考え方についてを考えるのだが、やはり信じられないというように考えていくしかなかった。こんなこと有り得る筈がないと。






・・・レオン自身ラクーン事件に巻き込まれた上で何とか生き残れてからは、アメリカから断ることが難しい状況でエージェントになるスカウトをされたということを加味しても、ウィルスやバイオハザード関連に巻き込まれやすくなったことを強く感じていた。現に少し前にはヨーロッパのとある寒村でウィルスとは違う新たな驚異と出会うことになり、最早ここまで来れば自分はもうバイオハザードと死ぬまで向き合う人生からは離れられないのだろうという半ば諦めに近い考えを抱いていた。出来ることならもうバイオハザードには関わりたくはないが、所属している場所の性質もあるし今更逃げ出すような事は出来ないと。

だが新一に関しては事件に出会しやすいという性質があると認めようとしないことに加えて、バイオハザードを体験したのにまるで普通の事件が起きたことと同列かのようにトラウマも何も持ったような様子を見せない姿は、レオンから見てもあまりにも異質な物にしか思えなかった・・・探偵としてという気持ちが折れることなく未だに個人としてという形で、立ち向かおうとしている姿は。

ここで個人として、というのもまた決して見過ごせない大きなポイントであった・・・一応というかアリッサも含めてアメリカに所属しないかと持ち掛けたことは何度かあった。その能力を見込んでというのもあるが、どちらかと言えば個人で活動することによる限界及び後ろ楯のない新一達の身を案じてでもあった。アンブレラやその影響を受けた者達の妨害などの懸念からだ。

だがアリッサはジャーナリストとして組織、それもアメリカ合衆国に所属するとなれば報道したいことを自由に報道出来なくなるということから、ジャーナリズムを大事にするなら仕方無いと思えるが・・・新一に関しては色々言いはしたが、レオンから見たら探偵として個人でやりたいしヒーローみたいに見られたい上で、ウィルスやバイオハザードについてを根絶して元の探偵としての日常・・・日本に帰った後で推理が必要な事件が自分の周りで起きて、自分がそれを解決するという新一にとっての元の日々にしたいと心の奥では考えていると感じたのである。だからアメリカに所属なんて有り得ないと見てるのだと。









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