望むことばかりを望んできた末路

・・・その時、アリッサはもう新一当人もだが蘭にもその両親にも説得どころか話をする意味なんてないというようにしか考えなかった。新一の気持ちを大事にしたいだとか新一なら生き残れるみたいな言い分に考えはあるのだろうが、何度も何度も危険だと言ってきたのに死ぬ危険性を承知で見捨てるような気持ちになるのではなく、死なないだろうと信頼する・・・言い方は悪いが楽観的にしか考えられない考えのズレた奴らにもうどうこう言うつもりは出てこないと。

だからアリッサは工藤家に関してはもう余計なことは言わずに済ませてきたのだが、今回の新一を拿捕にかかる件に関してアメリカ側から持ち掛けられた時は、即座に自分に不利がないようにという条件を引き合いに出して難を逃れたのである。工藤家と縁を切るのにはこれ以上ない好機と言える機会に存在だということもある上で、初めてバイオハザードと出会った施設以降で新一が自信を持ったように勝手に動いてトラブルが起きるといったケースが多発していったことから、もうここで力業で手を切らねば以降もズルズルとトラブルに巻き込まれた上で自分がその後始末に奔走しなければならない事になりかねないと思い。

故にアリッサはもう新一達に関しては以降はどのように乞われようと関わらずに済ませる予定である。親愛の気持ちなんて物は最初から無かったし、ここで助けるだったりフォローなどしようものなら完全に新一達は自分達の仲間なんだからとなるのは容易に想像が出来る為、金などメリットを提示されても絶対にそんなことはしないと・・・






(・・・俺もある程度は知っているつもりではあったが、六年近くも一緒にいたアリッサの言葉は違うな・・・)
・・・少し時間が過ぎて所変わり、エージェントの本拠地にバイクで戻る道中にて。
レオンは疲れたような表情を浮かべながら先程のやり取りを思い出していた。
(・・・アリッサは俺達に工藤新一達の後始末を押し付けたんだろうが、正直羨ましいとしか思えないな・・・)
そしてそんな風になるのはこれからのことというか新一のことであり、憂鬱な気持ちになるのを避けられなかった。とてもこれからの事は考えたくないと。






・・・新一との付き合いは一年半程度のアンブレラやウィルス関連くらいでのトラブルの時しか関わりのなかったレオンであるが、それでも何度も新一関連で頭を悩ませてきた物だった。それは言ってしまえば新一がウィルス関連の場所に突撃すれば、バイオハザードがほぼ百発百中と言ってもいい確率で起きたからだ。

この事に関しては回数を重ねていった後に何度もアリッサに突撃を制止するようにと言っていったのだが、その時の新一はバイオハザードが起きた施設の中から生き残る中で次の施設に繋がる情報を抜き出して納めるというような行動をしていたのである。もうアリッサからしてもこの時には新一に情報を渡すようなことは危険と判断して情報を絞って渡さないようにしていたのだが、そこは新一の目的の物を引き付ける力に見付ける力も異常なのも相まって情報を見付けて次の施設に新一が単独でまた向かう・・・というサイクルが出来上がったのだ。

そして新一はアリッサやレオン達からのお叱りやら注意やらを受けるのだが、それらに対しては表向きは悪い悪いとは言うものの同じことを何度も繰り返してきたのであり・・・レオンというかエージェント側としては本当に止めて欲しいと思っていて話をしてきたのに、話し半分程度も聞かない行動や態度に辟易としていたのである。エージェント側からしたら施設は出来るだけバイオハザードはおろか抵抗させないままに制圧したいという考えを優先させないことにだ。









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