隣の芝が青いことの意味

・・・最初こそはあまり交流に乗り気ではなかった二人だが、それでも小五郎が根気強く交流してきたこととカミーユが悪い人じゃないと言ったことから次第にルルーシュも打ち解けていき、今のような関係を築く事になった。

その中で小五郎はカミーユの家庭環境について聞いてはいたが、ルルーシュの家庭環境についても聞かされた。色々あって疑心暗鬼な考え方をするようになったルルーシュだが、カミーユの家庭環境の事だけを知られて自分の事は言わないというのはカミーユに対してもフェアではないということから。

その内容を聞いて小五郎は同情めいた気持ちを抱いた上で、ルルーシュとカミーユに対して家庭環境が複雑なだけの普通の子どもと認識して接してきた。色々考えると頭がこんがらがってくるから、ならそれくらいで認識すればいいかという単純な気持ちで。

だがその裏のない単純な考えが却って二人の気持ちを掴んだ。特にカミーユは人の気持ちだとかを見抜く力に長けているが、何の打算も裏もない善意で行動していると感じたからこそ信用出来ると言った形でだ。

・・・そしてそれからは二人は自分達から小五郎の事務所に行くことになっていった。食事の時間は二人より人数が多い方がいいと、そういった名目で小五郎に会いに行く形で小五郎と交流する為にだ。

ただ、そうして交流する内に小五郎にもまた抱えていた問題があったことを二人は知った。そしてそれは・・・






「・・・僕達の事はいいでしょう。それより今問題なのは蘭の方じゃないんですか?」
「あ~・・・それを言われっとな~・・・」
「俺達のせいで色々言われているのは承知していますが、最近はどう言われてるんですか?」
「大体お前らが聞いてきた中身だよ・・・ルルーシュ君達が来て世話をしてくれるのが当たり前に思わず、ちゃんとしなさいってそんな風に言われてきてんだ」
「・・・毛嫌いされてるって訳ではないのは分かるんですが、やっぱりそういう言い方をされると僕達が毛利さんを堕落させてるみたいに言われてるような気になるな・・・」
「毛利さんには少し申し訳無くはあるな・・・」
カミーユがその流れを変えるように蘭の事を小五郎に聞くのだが、変わらないといった中身を複雑そうに漏らす様子に二人揃って何とも言いがたそうな顔になる。






・・・小五郎には一人娘がいる。その名前は蘭なのだが、現在蘭と小五郎の間はあまり良くない空気が漂っていた。その理由は様々あるし小五郎は言葉にこそしないし二人もあえて口にはしないが、赤の他人のルルーシュとカミーユの二人と仲良くなっているのにも関わらず、現在別居中の妻である英理との仲の修復に取り組もうとしていないことにある。

ただ小五郎としても英理と仲を戻せるなら戻したいと思ってはいる。何だかんだ色々と言いはしても英理の事は好きだし、離婚したいとは思ってはいない。だが二人と会って昔よりは素直な気持ちになれるようになった小五郎が時折会って言葉を向けても、色好い返事が返ってきた事もなく時間が過ぎていった。復縁したいと思っても出来ないという状態が続いて。

そんな小五郎の現状についてを二人はよく聞いてきた。世話になって交流している事もあるが、二人に事情を知られていることもあり。だが蘭はそうした小五郎の努力と言ったものを自分から聞こうともしなかったし、いつまでもよりを戻そうとしない事に小五郎に対して情けないといったような事ばかりを言ってきた。そしてその中でこの二人と仲良くするくらいなら英理と仲直りをしろと、明らかに八つ当たり気味に二人に対して言葉をぶつけてくることもあった。

・・・小五郎は小五郎なりに頑張っていることは、その姿を見てきた二人はよく知っている。だが努力に結果が伴わないことは良くあることではあるし、それが対人関係の改善というなら尚更である。しかし蘭はそういったことなど考えていないとしか二人には見えなかった・・・父親に母親と仲直りさせることの難しさがいかような物なのかなど自分は関係無いとばかりに。









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