望むことばかりを望んできた末路

「ハッキリ言えばあいつの生き残る力は異常だ。運動能力は並の人間より高いのは確かだが、それだけで生き残れる程アンブレラは甘くはなかった。実際Tウィルスに抗体を持っていなければあいつは初めてゾンビに出会ったあの施設で、奴らの仲間になって死んでいただろうからな」
「あぁ、あの時の事ね。Tウィルスに対して何もなくても抗体を持っている人間が一定数いるとは聞いたけれど、そうでもなければ彼はあの時に死んでいたでしょうね。その辺りも運が良かったと言える所以というところかしら」
そこから新一が生き残る力にかけて異常と思った時の事を語り出すレオンに、アリッサも納得というようにその時の事から口にしていく。






・・・二人が言っているあの施設とは何なのかと言えば、一年半程前の話になるがその時にはもうアンブレラはかつてほどの栄光も影響力もなく、表に出していた優良企業としての顔で運営していた施設は裏の顔とは無関係な所だったり何も知らされていなかったこともあって、降伏して無罪と証明されればお咎めなし・・・というように持ちかけた施設とそこに所属していた人員達はアンブレラの勢いがなくなっていくにつれて次第に降伏していったことから、その時に残っているアンブレラの施設は後ろ暗い裏がある施設くらいになっていた。

そしてそんな裏の顔の方のアンブレラの施設の情報をアリッサが掴み、新一がそれを知ったこととその時は自分がアンブレラを潰すと意気込んでいたことからその施設にアリッサの制止を聞かずに一人で突っ込んでいったのだが・・・そこに行くともう施設はTウィルスが蔓延してバイオハザードが起こっている状態であって、初めてゾンビを始めとしたBOWに出会ったのである。

その時にアリッサは焦った新一からの連絡を受けた後で現場に急行すると共に、仕方無いとアンブレラを追う最中で知らされたエージェント直通の連絡先に話をしてから新一の元へと向かった・・・これはアリッサが臆病風に吹かれたからとかそういうわけではなく、アンブレラという組織を相手にするのに自分達という個人だけで相手にすることはどうしても無理があると判断したが故だ。だからアンブレラ関連の事になった時はある程度裏の事情を把握したなら、アリッサの情報網からアンブレラの手が入っていないと信頼出来る所にタレコミをして後の処置を任せていたのである。

ただそうしていったことからアリッサや新一のことはアメリカ側にも知られる事になったわけであり、注意を向けられると共に何かあったならここに連絡してくれと連絡先を渡されたのである・・・これは口頭での注意では二人が止まらなかったからやむを得ずの処置であると同時に、まだアンブレラの影響が強くて色々動くには難儀することが多い時の事だった為にアリッサの情報は色々とありがたかったことから、敢えて見逃されてきたのである。持ちつ持たれつというようにだ。

しかしその時の新一の行動はアリッサからもエージェント側からしても予想外の物だったからなりふり構わず動いたのであるが・・・そうしてアリッサが新一の元に辿り着いた時、新一は五体満足で銃を手に生きていたのである。かつて人だったモノ達やハンターといったBOW達の死骸が足元に転がる中だ。

この事にアリッサは驚きを隠せなかった・・・何だかんだアンブレラを追う中でもそうでなくても荒事が起これば新一は持ち前の運動能力で銃を撃つことなく対処をして大きな怪我を負うことはなかったのだが、それはあくまで人が相手だったことからであってゾンビやBOW達を相手にしなかったからだと思っていた。銃でさえ下手な所に当てても動きが鈍らないままに捕食や殺害にかかってくるBOW達と、新一がサッカーボールを蹴るような要領でぶち当てた物で呆気なく倒れるような人間ではどちらが厄介かなど分かりきった事であるし、そちらに出会ってない新一は・・・いざという時に銃を人の形が残ってないモノ達にならまだしも、ゾンビという人の心を失わせた感染者に向けて撃つなど出来ないと思っていたのだから。

しかし新一はそんなアリッサの予想を裏切る形が生き延びていて、そこから少ししてアンブレラの施設の制圧の為にレオンを始めとしたエージェント達が来て事なきを得た後、新一にTウィルスのワクチンを打とうとしたのだが・・・そこでTウィルスの抗体があることが判明したのである。と言っても一応念のためという形でワクチンは投与されたのだが、それでもレオンの話を聞いたからこそ出来すぎだとアリッサは感じたのである。









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