望むことばかりを望んできた末路

そしてそのデメリットについてが何かということだが、新一のフットワークの軽さが一番の理由だとアリッサは考えた・・・新一は優作という親がスポンサーという形で金を出している事から、アンブレラの情報を得るためにアメリカ国内だけでは飽きたらずに世界各地を飛び回って動いてきた。これに関しては予期せぬ情報を得られたことはまだアリッサとしては良かったと言えるものだった。

しかしそのフットワークの軽さは位置を把握して何かあった場合に対処に動くのが厄介であると同時に、新一が動くと目的の物が関わってくるか否かに限らずトラブルがかなりの確率で起きるという性質があることについては、アメリカも最早認めざるを得ない物だと共に危険なことだという認識であった・・・これまでは新一の悪運の強さとアンブレラを大々的に追うことを喧伝するわけにはいかなかったから大きな問題となったことはなかったが、アンブレラが潰れたことで自分が探偵だと公言するようになった事も加わり面倒になりかねない可能性を考慮してだ。

なら何が面倒になるかと具体的に有り得ることを言えば、言っていいことと黙るべきことを自分の考えで判断する際の新一が口が軽いということにある。新一は自分の都合や立場だとか聞こえの悪い事に関しては流石にこれは言わないでおこうとなるのだが、それ以外の事・・・言うならば自分は何も悪くないどころか誇らしい事をしていると思っている時には、自分の目的を隠さずにぶちまける癖が大いにあるのだ。そして同時に新一は自分は名探偵として認識されたいという承認欲求も持っている。

それらを踏まえて考えれば今はまだ新一の名前が広まってないからまだいいかもしれないが、時が経てば経つほどに新一が動けば何か重大な事がその行く場にあるのではないか・・・というように見られていくだろう事はアリッサにも予想が出来たのである。現にアンブレラが壊滅するまでのアンブレラが関与しない時間で起きた事件を解決したことで、活動の拠点として過ごしていた場の近辺では一応はアンブレラに目をつけられないよう、念のためにという形で将来的に探偵になることを目標にしてる青年という程度にして、メディアなどには出ないようにはするがそういった存在だと認識されていたのである。

しかし今はもうアンブレラは存在していないから新一からすれば探偵と堂々と名乗るには障害はない上で、何か起きればメディアに自分が事件を解決したんだというのを遠慮無く宣うだろうし注目が集まっていくのはまず間違いないだろう・・・だがそうなって困るというか、面倒になりかねないシチュエーションは確かに存在する。それはウィルスを用いてテロを行うような組織だったりが新一が動く事を知ったら新一が辿り着くまでに逃げ出すこともだが、その時点でテロを前倒しで行うといった事をしでかしかねないという場合だ。

この辺りで警察だとか様々な機関がこの犯罪組織を潰すなんて宣言しないことやこういった人員を送るなんて言わないのは、そういった逃走防止だとか焦った行動を取られたりというような取り返しのつかない事態を起こされるのを避けるためが主な理由にあたる。しかし今のフットワークが軽い上にメディアに顔を出してウィルス関連の事を平気で言いかねない新一の様子から考えれば、次第に有名になっていった新一が来たというだけで行動を起こす可能性が考えられるのだ。新一の事件に出会う頻度に命の危機に際するウィルステロに何だかんだで生き残って解決してきた経緯は、知れば知るほど驚異になりえると。

だがそういったような行動を取られて被害に遭うとか犠牲になるというのが誰かとなると、最終的に生き残れる新一以外の誰かになる・・・そう考えれば新一が相当に有名になる前に新一をどうにかすることが必須と見て動いたのだとアリッサは考えたのである。少なくともこの考えは当たらずとも遠からずだろうと。










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