望むことばかりを望んできた末路

・・・アメリカも日本も犯罪は起きる時は起きているが、推理など必要としない犯罪がほとんどであるし、アリッサ達からすれば推理が必要な犯罪というのは稀な物だというように認識していた。少なくともアメリカではそんな人のいる場で回りくどいトリックを使うようなことをしてまで人を殺して、罪状を逃れようとするような犯罪など犯す人物の方が稀・・・それこそ小難しいトリックなんか用いるより、銃で白昼堂々目的に襲撃して捕まるくらいなら自殺するというようなクレイジーな事をする奴らの方が多いというか、普通なイメージがある。

しかし新一が関わることになった事件はほぼと言っていい割合でそんな推理が必要とする物ばかりであった。それも日本もアメリカも問わない形でだ・・・そんな事件がこぞって新一の周りで起きることに関して、レオンもそうだがアリッサは特に有り得ないという気持ちを抱いていたのだ。何で新一の周りではこんな事件ばかりが起きるのかと。

そんな疑問からアリッサは新一にいつも推理が必要な事件ばかりな事がおかしいとは思わないのかと、本来アメリカで起きやすい事件の事を引き合いに出して聞くのだが、自分の周りじゃこういう物だと案の定な答えが返ってきた事にいくら本人が否定しようが、もう新一はそういった運周りであるとか何かとんでもないモノが憑いてる方が有り得ると思うようになった。探偵として推理をしたいという気持ちが根底にあるから、その気持ちに引っ張られて謎を解決しなければならない事件が来てるのではと。

そういったように考えていくとアリッサはより一層に新一と距離を取りたいという気持ちがまた強くなっていくのだが、それをしなかったのにはその厄介事を引き寄せる性質が役に立つこともあったからであった。






「・・・ただそんな彼でもというか、彼だからこそアンブレラを相手にするには役に立ったこともあった。奴らとゴタゴタが起きてそこから付け入る隙を見出だし、情報を得るなりなんなりと出来たことも・・・だからこそ私は彼と付き合うストレスを考慮した上で彼を切るという事はしなかったのよ」
「・・・裏を返せばそのメリットが無ければ即行で工藤新一を切っていたということか」
「えぇ。目的は同じというように言うものの、目的のモノに近付くことも出来ないままトラブルばかり引き起こすトラブルメーカーといつまでも一緒にいるなんて意味がないでしょう?だからその点では彼のトラブルメーカー体質がアンブレラに対しても反応したことも何度かあったから、なんとか我慢する形で抑えてきたの」
「辛うじてメリットがデメリットを上回ったということか」
「そうでもなければ一年どころか半年もしない内に彼を切ってたのは間違いなかったでしょうね」
しかし新一との付き合いが功を奏した分は一応はあったとアリッサは語るのだが、それはギリギリメリットがあったというくらいだったとうんざりとしたように漏らす。






・・・新一の事件やトラブルを引き寄せる性質は、目的があるかないかに限らないものだとアリッサは認識している。その点で事件やトラブルが起きてほしいという訳ではないが、アンブレラを早く潰すという意味でアンブレラ限定でそうなってほしいという気持ちがあったのは確かだった。

しかしそんな目的と関係無いモノも引き寄せるという点を差し引いても、新一がアリッサも得ていないアンブレラの手掛かりを事件を経て手繰り寄せる事が出来た事が何度もあった。これに関しては正直な所としてアリッサとしては頭を悩ませる原因となった・・・確かにアンブレラについて協力するようにしようといった関係になったし手掛かりについてを得られたことは良かったのだが、他の関係無いことだけを引き寄せるだけだったら協力関係を打ち切る選択が出来たのにと。

だからアリッサとしてはもうアンブレラ限定でトラブルを吸引してくれと願うしかなかったのである・・・一応それらで得られた情報に関して自分だけだったらかなり時間をかけても得られたかどうか怪しい成果に関して大きい物だったのもあってだ。









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