望むことばかりを望んできた末路

「・・・俺も英理も本当に蘭の事を心配した上で新一の所に行くなっつったが、あんな形になったこともそうだしもう大人が選択したことだから無理に引き戻すようなことはしないって風に英理と話し合った。親として不本意な形じゃあっても自分達の元から巣立ったんだし、それこそアンブレラの事を知ってからは何かあっても仕方無いし、下手に英理が巻き込まれないようにももうこのままにしようって風に無理矢理に納得する為にもな・・・」
「「っ・・・!」」
そのまま小五郎は自身らが蘭に対して話し合い出した結論がいかな物かを英理には明かしていない部分も口にし、二人はまさかというように息を呑んだ。小五郎達が辛い気持ちを我慢した上で決断を下したかに、小五郎に至っては英理の為にもと秘した想いがあったことを知り。
「・・・その点じゃあんたらがそういったことを考えてなかったってのは単純に新一や蘭なら大丈夫だろうって思ってたからなんだろうし、新一や蘭もそんな感じだから俺達の言うことに反発したんだろうが・・・同時に自分達が正しいって思うから俺達がその結果を見て思い直してくれて、また仲良くしたいっていうように都合良くなってほしいって考えがあるから、話のような形になったんだろ。俺達が間違ってるんだからってな」
「も、毛利さん達が間違ってるだなんて蘭ちゃんがそんなことを・・・」
「だったら蘭達から俺達の方が正しいみたいな事はまだしも、言ってること自体はまだ理解は出来る・・・くらいなニュアンスの言葉でも聞かなかったんですか?蘭達は少しは自分達も悪いみたいな感じに思ってるようには俺は感じませんでしたよ」
「「っ・・・!」」
そこから手をどけて前を向き蘭達の考えについてを語る小五郎になんとか言葉を返そうとする優作だったが、続けられた追求の言葉に有希子共々また息を詰まらせた。事実、二人からそんな自分達が悪い部分もあるとは心底から思った言葉は無かったことを思い出す形で。
「・・・あいつらからすりゃ自分達はもう大人だからとか、これで成功してきたのに変な心配は不愉快だって思ったのかもしれねぇ。だがそういった風に考えつつも俺達には自分達の事を理解してほしいって思ってるってのは、例えあんたらがそんな想いを掬い取ったからここに来たんだっつったって、そんな風に自分達のやりたいことしか考えてねぇことの自業自得でしかねぇんだよ。言葉のあやだとか勢いで言っただとかいくら言い訳をしようが、どうなるかって事を考えた上でもう蘭達がどうなろうが蘭達が選んだことだって覚悟して思うことにした俺らからしたらな」
「「っ!!」」
そしてこれがまとめだとばかりに言葉にしていった小五郎の強い視線からの意志に、二人はたまらずに視線を背ける以外に出来なかった・・・小五郎が言ったことは蘭達にだけではなく、流されるままでいてまた以前のようになるとどこか楽観的でいた気持ちを持っていた事を自分達にも当てはまること・・・そう痛烈に感じてしまったが為に・・・


















・・・そうして二人は反論も何も出来なくなり、小五郎の元を力無く後にしていった。それでその二人がいなくなった後、小五郎はすぐに英理へと電話をした。



『そう・・・二人がそんなことを言いに・・・』
「一応お前の所には行かないようにとは言い含めておいたから余程じゃねーなら来ねぇとは思うが、用心はしとけよ。英理なら俺みたいな事は言わないって有希子ちゃんがすがるようになる可能性は有り得るからな」
『えぇ、分かってるわ。だから二人が来るか連絡してくるならちゃんと対応するから』
「なら安心だ」
・・・そうして一通り英理に対して黙っておくべき所を黙って話をし終えた小五郎に対し、英理は迷うことはないというように返したことに安堵の笑みを浮かべた。









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