望むことばかりを望んできた末路

・・・そもそも蘭が何で新一の元に来たのか。これは以前の組織との時で体が小さくなっていた頃は所在を不明にして連絡もいつでも出来るわけではないというように表向きはしていた。ただ元の体に戻って退学すると蘭に言った時には組織に関してはある程度誤魔化した上でアンブレラを追う事にしたから、日本にはしばらく帰る気はないと告げた。しかしそんな言葉にはいそうですかと納得出来ないと蘭が言ったことから妥協案という形で、定期的に連絡だとかいる所について話をするようにということになった。

ただそうして新一がアンブレラを追うことに集中して連絡が次第におざなりになっていくこともだが、本当に日本に帰ることすらしなかったことに痺れを切らした蘭が新一の元に行くと爆発する形で切り出したのである・・・その時にはもうアンブレラについてはかなりブラックな企業だという事は表でも言われている段階にあり、裏での情報に関しても表のネットですら色々と探せば出てきた為に。

だからこそというか小五郎に英理は蘭が新一の元に行くと切り出した時は、それはそれは盛大に反対した物であった・・・何せ伝え聞く噂が本物であったなら、どれだけ危険なのかと考えれば愛娘をそんな危険な相手を探ろうとしている新一の元になどやりたくないと思うのが普通である。

というより新一がアンブレラを追う為に退学まですると判断した時には、二人揃って優作達へとどういったつもりだと連絡したくらいであった。そんな危ない相手を追うことを容認するなどどうかしていると。ただ優作達は新一が強い意志を持って決断したこともそうだが、言葉にはしないものの組織を相手にして小さくなった体であったことを差し引いてもうまくやれていたからという実績を見て判断したのだが・・・そういった事を話さず楽観的な姿勢を取る優作達に対し、二人は痛烈にその姿勢を批判した上で新一も含めて距離を取ることを選んだ。工藤家揃って奔放な性格や考え方であることは二人も承知していたが、新一のやろうとしていることに関してを危険だと承知で容認するその姿勢には流石に付き合ってられないと考えたからである。あまりにも自分達とは考えることに差がありすぎると。

だから二人は海外に行って日本に帰ってこなくなった新一はもとより、時々だが一応顔見せに日本に戻ってくる優作達とも顔を会わせることなく過ごしていくのだが・・・三年程経った頃に蘭が爆発したのである。新一と直接会えない時間があまりにも続いたことにむしろよくこれだけ我慢が出来たものだという考えも浮かんだが、だからこそというかその爆発力はすさまじくて工藤家に対しての不信が根付いていた二人の言葉に頷かないどころか、むしろ火に油を注ぐかのように反論していった。

そんな蘭の姿勢に二人は蘭を止めるためにやむを得ないと思いながら優作達もそうだが、新一にも連絡をする形で蘭についての話し合いをしようと半ば強引に場をセッティングさせた。この問題に関しては蘭が新一の元に行くと言って聞かないことから、その行くと言われた側の新一達にも話をして止めるようにしてほしいと願ったからだ。

それで優作と有希子の二人とは直に同じ場所で、新一は日本に戻れる状態ではないからと電話越しに小五郎達は蘭を止めるための話をと思ったのだが・・・蘭がその話の中でも新一に会いに行くと言って聞かなかった所で有希子がそんなに新ちゃんの事が好きなの?と聞いた時に新一共々動揺した様子を浮かべていたが、その問い掛けに恥ずかしげながらも肯定を返していったこと及びもう新一とずっと離れ離れは嫌だ・・・というように返した上で新一の元に行きたいと言い出したことに、有希子が口にしたのはそこまで言うんならもう蘭ちゃんを受け入れなさい新ちゃん・・・というものだった。









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