望むことばかりを望んできた末路

・・・そうして赤井は注意を新一達に向けて沈痛といった面持ちにした後、灰原を引き連れる形でその場を後にしていった。一応元の体に戻ったばかりで薬の効果により完全に元の体に戻ったと確定した訳ではないが、何かあったなら連絡してくればいいと赤井は言い残す形でだ。この辺りは赤井のドライな一面からの判断であると共に、灰原がもう出来る限り新一達と関わりたくないというように言ったが為だ。アンブレラが組織についてを盛大にバラして以降組織に近付くこともそうだが、アンブレラに対しても灰原にしつこく聞いてきたことにより今後も新一と関わり続けたいと思えないと。だから灰原としてはもう罪を償うことも含めて、FBIの元にいて新一達との関わりは断つ予定である。






「・・・ねぇ、貴方・・・これから新ちゃんについてはどうするの・・・?」
「・・・新一の心積もり次第ではあるが、彼の言っていたようアンブレラを追うか元の生活に戻るかは体の状態を確認しながらもこの数日の内に決めてもらわねばならないだろう。これに関してはどちらにするかで新一の将来に関わってくるとても大きな分岐点になってくるからこそ、慎重に私達も含めて考えていく形でな・・・」
「「っ・・・」」
・・・そうして場に残された三人の中で有希子が不安そうに優作に新一について尋ねるが、重さを感じさせるように三人で考えなければとの答えに二人は揃って複雑そうにうつむくしかなかった。優作でも簡単に結論を出せない問題であるし、それだけ大事な物なのだと改めて知らされてしまった為に・・・


















・・・そうして数日の間を新一の体の事後観察も兼ねて話し合いの為に使うことにした三人だが、それで最終的に新一が出した結論は・・・学校を辞めてアンブレラを追うことにするというものだった。

これに関しては新一自身どちらにするかをかなり悩むことになった上で、優作に有希子の二人は悩むくらいなら元の生活に戻ったらどうかというように話し合った・・・一応というか新一が元の体に戻りたいと思っていたのは幼馴染みの蘭と同じ高校に通い、同じように進級していきたいという思いがあったからだ。だから時間をかけつつも出来ることなら留年となる前に組織を壊滅させた上で、元の体に戻りたいと新一は考えていた。

だが折角元の体に戻れたのにそれを喜べなかったのはアンブレラが組織以上に悪事を働いているということもあるが、他ならぬ自分の手で組織を壊滅させた上で元に戻りたいという願望を木っ端微塵に打ち砕く事をしてくれた・・・という自分が主導してでないことが不満だという気持ちからであって、その気持ちが端から見えたから灰原は新一に対して冷たい態度を見せていたのである。

だがそんなことを気付けない程に新一は怒りを覚えていたし、赤井から言われた言葉から天秤にかける形でどうするかと考えた結果として・・・アンブレラに盛大な横槍を入れられた事に対する怒りもそうだが、赤井からの言葉に対しての反骨心を抱いたのである。元に戻ることがさも当然というかそうするのがいいだろうみたいな言い方が、新一からしたならお前には無理だと言われているようではないのかと。

元来負けず嫌いな面が強い新一はそういったように思うようになってからは、もう元の体に戻ったのだし探偵は高校や大学に行かなければなれないわけではないし・・・蘭に関しては一緒に高校に行けないことやしばらく会えなくなることも、アンブレラを壊滅させるまで我慢することにすると。

それで新一がそういった考えについてを話していき、優作達は説得をしていくのだが・・・その結果として二人は折れて、新一の活動を支援すると決めたのである。









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