望むことばかりを望んできた末路

「そういうことだが、もっと踏み込んだ話をするなら君が高校を卒業してから改めて行動するなんて悠長な事をすれば、その時に企業としての規模を考えればアンブレラが潰されている可能性は低いだろうが、その時に自分もこういうわけだから関わらせてくれなんて要求を出しても今更だと言われるのがオチだろう・・・ただそもそも今回こうして薬のデータを渡して君や志保の体を元に戻すことに決めたのは、俺が判断したというのもあるが組織がやったことをいたずらに広めないためという交換条件を守ってもらうためだ。百歩譲ってそういったように後に動くこと自体は構わんが、そんな形で組織のやったことをバラしたなら君の両親に対しても含め、こちらも然るべき手段を取ることについてを検討せざるを得なくなるだろうな」
「「「っ・・・」」」
その上で赤井は更なる注意を優作達も含める形で鋭い視線と共に向けると、新一達三人は揃って苦い様子で声を詰まらせるしかなかった。明らかに痛いところを突かれたというよう。






・・・組織がアンブレラの行動により、窮地に追い込まれている。そう知った新一もだが海外にいた優作に有希子もこれはまずいと連絡を取り合い、至急揃って動くことにした。今までの活動の仕方を貫こうとしていたなら、確実に今の様子ではそう遠くない内に組織は新一の関わらない所で潰れてしまい、元の体に戻るために必要な薬のデータはどこかの機関が摘発して手に入れられずじまいで終わる可能性は非常に高いと。

だから優作は自分でどうにかしたいという新一を説き伏せた上で自身のツテからFBIの知り合いに事情を説明し、どうにかならないかと話をした結果として組織についての責任者である赤井が新一達の元に来て薬のデータを確保してくるとなったわけであるが・・・言葉を飾らずに言うなら赤井からすれば新一の事は志保のオマケのようなものであって、新一達もそういったおざなりな気持ちを感じ取っていた。

・・・アンブレラがいない世界線では組織に徐々に近付き紆余曲折を経て赤井やFBIの面々と仲を深めて協力者という立場になっていくのだが、元々赤井はそこまでフランクな性格でもない上に警戒心も高くて仲を深めるにはそれなりに時間が必要なタイプである。だからこそこの世界では特に時間を共にしておらず、ただこういった事があったから協力するかどうか判断するようにと言われただけの新一達の事を気に入るなど有り得る筈がなかった。

だがそれでも赤井が新一達に協力すると決めた理由のほとんどは新一ではなく、かつて付き合っていた上で本気で好きだった恋人の妹である灰原を元に戻したいという気持ちからである。ここで仮に灰原が恋人の妹という立場でなかったなら、赤井は言い方は飾るような形を取るが結論として色々な意味を含めて我慢しろというように捨て置いただろう・・・一見合理的な判断を下したというように表向きには言うが、その実として感情を優先した判断を下しやすい癖がある赤井だからこそである。

ただそういった意味では灰原の立場に救われた新一ではあるのだが、それで新一達に対して優しくする赤井ではなく様々に条件をつけられてそれらを呑めないだったり、後で反故にするといった行動を取った場合の強烈なペナルティを課すことは条件に付けられている・・・故に新一達としては下手に赤井やFBIの意に反することは出来ないというように萎縮せざるを得ないのである。









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