いつかを変えることの代償 終幕(後編)
・・・そんな小五郎だが、今回でも新一の顔を度々見ることがある。それは勿論直接会うという意味でではなく、以前のようにマスコミの前に姿を現し探偵としての写真を撮られた顔をだ。
その新一の顔を見る限りでは元気そうにやっているのは小五郎にも分かる。明らかに調子が良さそうなその顔を見る限りでは・・・しかし今の状況を断片的に知らされていることもあるが、その写真の顔を見て小五郎はこう思った・・・明らかにイキイキし過ぎていると。
まじまじと男の顔を見る趣味などない小五郎だが、新一は義理の息子になったこともあって縁も浅くないことから分かる。写真の新一がいかに以前より輝いているかを。そしてその理由は何かと考えたら、すぐに結論は出た・・・事件を解決することにより、ストレスを発散していると。
以前だったなら短絡的だと言われた小五郎の推測だが、明智と園子達にこの考えについてを聞いたところ間違いないだろうとの答えが返ってきた。家でのストレスを謎を解決し、探偵としての活動を行うことで解消してスッキリしているのだろうと。特に園子は間違いないと強くその考えが正しいと言っていた・・・事件があった後の学校で新一を見掛けると、やたらと機嫌がいいとばかりの姿を何度も見たからと。
「・・・新一・・・」
・・・いくら今は縁が切れているとは言え、元は自分の義理の息子になった存在だ。百歩譲って事件を引き寄せるその性質は仕方無いにしても、事件を求めてそれを解決することに喜びが写真越しでも感じられる姿を見せられては・・・小五郎も悲しくならざるを得なかった、高遠の言葉を否定出来ない所かある意味高遠よりタチが悪い姿は。
事務所内で新聞の新一の写真を見て小五郎はその名を呟くが、すぐにその新聞をテーブルの上に置いて仕事用の机に向かう。
(多分優作さんが新一を抑えきれなくなったのと、目暮警部達に事件を解決してくれって頼りにされたのが相まってあぁなっちまったんだろうな・・・けどもう俺には関係ねぇ。あいつやその周辺の皆がどうなろうが今となっちゃ尚更俺にはどうも出来ねぇしな・・・それより今日は仕事があるし、気持ちを切り替えねぇとな・・・)
・・・まだ思うところというか、気持ちが固まりきれてない部分があるのは否定は出来ない。だが明智達との交流及びその言葉に小五郎ももうある程度は吹っ切れた。
多少は考えはするもののそれでも今ある自分の生活の為にも、依頼があることから仕事の方に集中しようと小五郎は考え作業に移っていく・・・
・・・何かを変えるためには代償が必要になる。だが同時に、何も変えないと決めることに代償が無いのか・・・と言えばそうではない。
一人の男は変えることによる代償を覚悟して動いた。もう一人の男は出来る限り変えないことを選び、自身にとって望ましい物を掴み取ろうとだけした。その結果がどちらの男にも苦い気持ちはあるものの、変えないことを選んだ男に深い苦さを与えた。
・・・変えないことは間違いではない。だが過ちを過ちと理解した時に愚かさの代償を得るのだ、変えなかった事への代償をより強い形で。
・・・これよりの人生で変えようとしなかった男には苦難の道が待ち構えているだろう。そして変えることを選んだ男は救われるだろう。変えたことにより得られた縁により・・・
END
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その新一の顔を見る限りでは元気そうにやっているのは小五郎にも分かる。明らかに調子が良さそうなその顔を見る限りでは・・・しかし今の状況を断片的に知らされていることもあるが、その写真の顔を見て小五郎はこう思った・・・明らかにイキイキし過ぎていると。
まじまじと男の顔を見る趣味などない小五郎だが、新一は義理の息子になったこともあって縁も浅くないことから分かる。写真の新一がいかに以前より輝いているかを。そしてその理由は何かと考えたら、すぐに結論は出た・・・事件を解決することにより、ストレスを発散していると。
以前だったなら短絡的だと言われた小五郎の推測だが、明智と園子達にこの考えについてを聞いたところ間違いないだろうとの答えが返ってきた。家でのストレスを謎を解決し、探偵としての活動を行うことで解消してスッキリしているのだろうと。特に園子は間違いないと強くその考えが正しいと言っていた・・・事件があった後の学校で新一を見掛けると、やたらと機嫌がいいとばかりの姿を何度も見たからと。
「・・・新一・・・」
・・・いくら今は縁が切れているとは言え、元は自分の義理の息子になった存在だ。百歩譲って事件を引き寄せるその性質は仕方無いにしても、事件を求めてそれを解決することに喜びが写真越しでも感じられる姿を見せられては・・・小五郎も悲しくならざるを得なかった、高遠の言葉を否定出来ない所かある意味高遠よりタチが悪い姿は。
事務所内で新聞の新一の写真を見て小五郎はその名を呟くが、すぐにその新聞をテーブルの上に置いて仕事用の机に向かう。
(多分優作さんが新一を抑えきれなくなったのと、目暮警部達に事件を解決してくれって頼りにされたのが相まってあぁなっちまったんだろうな・・・けどもう俺には関係ねぇ。あいつやその周辺の皆がどうなろうが今となっちゃ尚更俺にはどうも出来ねぇしな・・・それより今日は仕事があるし、気持ちを切り替えねぇとな・・・)
・・・まだ思うところというか、気持ちが固まりきれてない部分があるのは否定は出来ない。だが明智達との交流及びその言葉に小五郎ももうある程度は吹っ切れた。
多少は考えはするもののそれでも今ある自分の生活の為にも、依頼があることから仕事の方に集中しようと小五郎は考え作業に移っていく・・・
・・・何かを変えるためには代償が必要になる。だが同時に、何も変えないと決めることに代償が無いのか・・・と言えばそうではない。
一人の男は変えることによる代償を覚悟して動いた。もう一人の男は出来る限り変えないことを選び、自身にとって望ましい物を掴み取ろうとだけした。その結果がどちらの男にも苦い気持ちはあるものの、変えないことを選んだ男に深い苦さを与えた。
・・・変えないことは間違いではない。だが過ちを過ちと理解した時に愚かさの代償を得るのだ、変えなかった事への代償をより強い形で。
・・・これよりの人生で変えようとしなかった男には苦難の道が待ち構えているだろう。そして変えることを選んだ男は救われるだろう。変えたことにより得られた縁により・・・
END
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