いつかを変えることの代償 終幕(後編)

・・・それで後日、小五郎は明智に高遠と会った時の事を話した。その際に明智からは若干呆れたような声で話をされたが、それでも今の高遠なら大丈夫であろう事に小五郎に危害を加えるような事はないだろうというように返された。

後ついでに言うなら高遠のステージに行く際には自分も誘ってほしいとの事だった。確かに高遠が犯罪を犯すことが無くなったのはいいとしても仲良くするつもりは毛頭ないが、それでもマジシャンとしての腕が確かなステージを見てそのマジックを純粋に見たいからということでだ。

小五郎はその頼みにすぐに頷いた。今回敵でないなら別に構わないだろうし、明智も流石に頭で理解した上で暴挙に出るような事はないだろうと考え。






・・・それで小五郎は園子と志保にも優作関連の事についてを伝えた。本当は伝えるべきかどうかを悩みはしたが、それでも二人がどう思うかという興味も少なからずあったために。

そんな小五郎だったが、二人から返ってきた返事があっさりと納得する物だったことに驚いた。特に園子がしきりに納得していたことが小五郎の驚きに拍車をかけた。

どうしてそう思うのかと聞けば、新一がいた時もコナンになっていた時も蘭が甲斐甲斐しく工藤家の掃除に来るそもそもの理由が、工藤夫妻が家にいない事が理由であったことだという。その後に工藤家が色々と組織を追い詰める過程で使われる事になったことから、その方が結果的に都合が良かったという声も上がるかもしれないが、当時友達として付き合っていた園子からしてみれば度々遊びに行きたいという声を工藤家の掃除の為の時間に費やしたいと言われて断られ、友達としての縁があるから仕方無いと協力したりしてきたのだ。それも工藤夫妻は新一の身に起きたことを知っている時にだ・・・そう考えれば園子からしてみれば不満の一つや二つはあるだろうと小五郎も感じていた。優作達が悠々と自分達が何をしているかを知ってか知らずか動いていたことに対して。

それで話を戻してそういうことならと二人は新一の様子についてを時折連絡すると小五郎に告げた。新一が変わるかどうか、外側から見てどうなるか自分達も興味があるからということで。ただその際には高遠の出るステージについてのチケットの要求をされた・・・前世では凶悪犯罪者ではあったが今は腕もあり華もあるマジシャンだというだけなら、危険はないだろうからその舞台を二人であったり小五郎達と見に行きたいと。

この要求に対し小五郎はすぐに頷いた。危険がないと思ったこともあるが、善意で行動してくれる二人に対して報いる為に。




















・・・それから時間が経ち、度々送られてくる園子達の連絡から新一に改善の兆候が見られないどころか、どこか不満げな様子を浮かべている姿をよく見掛けていると小五郎は知った。その理由はハッキリ接触していないから分からないが、工藤夫妻・・・特に優作がいて何かやってはいるだろうが、それがうまく行かないで新一にとってストレスが溜まってるんじゃないかと言われる形でだ。

それは確かにと小五郎は思った・・・以前のコナンになる前の新一を考えてみれば、一人暮らしでも辛そうな様子がなかったどころかむしろ平然としていた姿ばかりを見てきた。それらの姿を思い返せば新一は誰かに縛られることを好まない優作達と同じような性質を持っていた事から、やたらと干渉してきて家にいる優作と反りが合わないのでは・・・そう小五郎は考えた。

しかし真実については園子達が新一もそうだが蘭にも近寄らないと決めているから探るようにも小五郎からは言えないため、正しいかどうかは知りようがない・・・ただ後は願うばかりであった。新一達がそれでも上手く行けばいいと。









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