舞い戻った一つの仮面により感情は移ろう

「・・・ここで優作さん達がそう考えてたってことに関しては一先ずはいいよ。でも新一は私がお節介を焼かなかったからで家事だとかをやらなかったってこともそうだけど、事件や推理に触れることの方が大事だって風に態度を改めたり考えたようなこともなかった。貴方からしたら自分は探偵としてやるべきことをやってるとか息抜きも必要だみたいに言うかもしれないけれど、私からしたら優作さん達からお金を出してもらって一人暮らしをするって頷いた分もあって、それでいいわけあるはずないじゃないとしか思えなくなったのよ・・・事件や推理の事ばかりを優先して時々一緒に出掛けることがあって、その時もいつも事件に出会ってそれで笑顔を浮かべる姿に、仮に将来結婚したとして自分は探偵として事件や謎に向き合うのが仕事だとか大事なのは分かるだろう・・・みたいなことを言われるんじゃないかって事を考えると、どんどん冷めていったの。そしてそれが決定的になったのがこの前のデートよ」
「なっ・・・そ、それは俺がこの姿になったからそう言ってるのか・・・!?」
「そうじゃないわ。あの時事件に出会ったこと以上に、貴方がその男の人達を怪しいって誤魔化すようにして追い掛けていった姿を見て感じたのよ・・・新一が事件や謎だとかを放っておけないみたいな気持ちを否定する気はないけれど、だからって新一のやりたいようにやることを見守るだとかサポートを出来るのかや見守る事・・・そして貴方を好きだって気持ちは、もう一切無くなった事にね」
「っ!?」
そんな小五郎達の声を継ぐよう今までの流れの総意だというように自身が冷めた事をまとめあげた蘭に、新一は顔色を一気に悪くして絶句するしかなかった。無理矢理にでも小五郎の元に騙して入り込んできたことが理由ではなく、純然にこの前のデートで蘭の気持ちが冷めたと言われてしまい。
「ただだからと言ってさっきも言ったけれど、こうして貴方が優作さん達を連れてきて私達を騙そうとした事は別問題なんて物じゃないわ。むしろ異性としてはもうともかくとしてもまだ人としては嫌いじゃなかったから、普通の友人として仲良くするくらいで今度からはデートは無しにしようって今度会ったらハッキリ言おうって思ってたんだけど・・・もう無理。もう貴方の事、友達としてすら私はいたくないとしか思えないもの。お父さんもそうだし私にも何にも言わずに利用しようとする人となんか」
「そっ、そんな・・・!?」
「だからさ、新一・・・その男の人達を捕まえたいって気持ちは分からない訳じゃないし、元の体に戻りたいみたいなことは間違ってるとは言わないけれど最後にこれだけは言わせて」



「・・・そういったことをしたいのなら本当に私達とは関係の無い所で一人でか優作さん達と一緒にやるのかのどっちでもいいから、とにかく勝手にここに近付かないように離れてやってて。もうこれ以上貴方や優作さん達のワガママや都合に振り回されたくないの」



「「「「っ!!」」」」
・・・そしてトドメと言わんばかりに蘭はこれ以上にないと思わせる程冷たい目と声で拒絶の言葉を送り、四人は揃ってその姿に衝撃を受けてうなだれる以外に無かった。何だかんだ言ってきても四人と接する時は笑顔でいて悪感情など向けることなどなかった蘭が、最早何を言っても聞くつもりなど微塵もないと言わんばかりに拒否の空気を強くまとっていて、何を言ってももうどうしようもないと四人揃って理解させられた為に。


















・・・それで少しの間沈黙という形で時間は流れたが、小五郎がもう蘭が俺の言いたいことは全部言い終わったから帰ってくれと冷たく言い放ったことで四人は力なく探偵事務所を後にするしかなかった。もうこれ以上何も言いようもないという様子でだ。









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