舞い戻った一つの仮面により感情は移ろう

「今の話を聞いてお前がそういった事を考えてなかっただろうってのはその反応から十分理解出来たし、そもそもそういったことを考えすらしちゃいなかっただろうともさっきのお前の反応から感じてた。だからこそ毛利さんに聞きますが、今の話だったり工藤達の様子を見て協力しようみたいな気持ちはありますか?」
「んな気持ちあるわけねーよ。むしろ今の話を聞いて頷く奴がいるんならそいつに頼めって言いてーくらいだ」
「そうよね~。どっちに転んだっておじ様達の立場からしたら得なんてないどころか、むしろ損にしかならないのは荒垣さんの話から目に見えた結果になるだろうし、断るのが当然でしょ」
「っ・・・ら、蘭・・・」
そうした四人の反応を見た上で荒垣が小五郎にどうかと話を振れば、すぐに強く受け入れないと言い園子も同意を返したことに新一は残る蘭にすがるような視線と声を向ける。
「・・・ねぇ、新一・・・一つ聞いていい?」
「え・・・な、何を聞きたいんだよ・・・?」
「・・・多分っていうか博士はお父さんが探偵っていう職業にいることから、その男の人達に辿り着く為にちょうどいい人だって思ったからそう言って新一もちょうどいい人だって思ったからそうしようってなったと思うんだけど・・・今の話を聞いてお父さんの所じゃなきゃ駄目だっていうような理由ってあるの?」
「えっ・・・な、何でそんなことを・・・?」
だが蘭が悲し気であるようでいて何かが違うように目を細めながら向けてきた問い掛けに、新一は真意が分からずに恐る恐る問い返す。
「いいから答えてよ・・・お父さんの所じゃなきゃならない理由ってあるの?」
「っ・・・それは、正直絶対におっちゃんじゃなければならない理由はないとしか言いようがねーよ・・・博士から言われたってのもあるけど、ちょうどいい立場にいるのがおっちゃんだったって事からだからそうじゃないなら別に・・・」
「そう・・・都合が良かったからってだけ、なんだね・・・」
しかし意図探りを許さないとの返しに新一はまた恐る恐ると返すのだが、蘭はそこで顔と目を伏せるが少ししてすぐに顔を上げる・・・そこには無の表情を浮かべた蘭の顔があった。



「・・・だったら無理にでもここでそうしたいなんて言わず、都合のいい人を見付けるなり何なりとしてその男の人達を追ってればいいじゃない。お父さんの元でなんてこだわるようなことは止めてさ」



「「「「っ!?」」」」
・・・そして蘭から出てきた言葉はハッキリと新一を受け入れる気持ちなどないと分かる別の所に行けばとの物に、新一達四人は驚愕以外を浮かばせる事が出来なかった。何だかんだで最後には新一の判断を優先して助けてくれると見ていた蘭が、そうしてキッパリと拒絶を返してくると思っていなかった為に。
「・・・いいの、蘭?そんなことをハッキリ言っちゃって?」
「いいも悪いもさっきの荒垣さんの話で新一を受け入れたら私もそうだけど、それ以上にお父さんが辛いことになるのはもう間違いないのは荒垣さんの話から分かったから、そんなことになって欲しくないっていうのもそうだけど・・・お父さんや私には何も言わないまま、新一は自分の都合のいいように動こうとしようとしてた。それも博士や二人まで呼んで頼んででもって形でよ。その男の人達に対して色々な気持ちがあるのは話を聞いたから分かるけれど・・・どういうように言ったところで私達に協力して欲しいなんて言葉もなく、ただ都合が良くて利用しようとしてただけなんだって思えたからそう言ったのよ。お父さんは今言ったけれど私もそんな新一達の為になんか動きたくないから、都合のいい人に頼むだとか騙して何も知らせずに利用してその男の人達を追えばいいってね」
「「「「っ・・・!」」」」
ただ園子は本当にいいのかと確認を向けるのだが、蘭が拒絶と共に辛辣でいて皮肉めかせた言葉で返したことに四人は戦慄して震えるしかない中・・・特に新一は信じられないとばかりに青ざめた顔を向けていた。蘭の様子が新一の知っている物とあまりにもかけはなれていることもそうだが、ハッキリここまで言われると思わなかったのである。自分の勝手が影響しているというのは話の中身から理解はしても、蘭なら自分の事を最終的には仕方無いとか言って受け入れてくれると思ってたのにそんな様子を微塵も見せない否定を返すとはと。









.
20/27ページ
スキ