舞い戻った一つの仮面により感情は移ろう

「お前は自分が元に戻りさえすればそれで全て元通りになるか、もしくはその男達を捕まえることが出来たんだからそれ以上にいいことになるとでも思っているかもしれねぇ・・・だがそれで仮にそいつらを捕まえてお前の体が戻った事をマスコミに明かしたとして、毛利さん達がお前の事を知っていたならそんなことを秘密にするなという非難が出てきて、知らなかったなら知らなかったでそんな長い期間なんで気付かなかったんだとマヌケ扱いされるのが目に見えるんだよ」
「なっ・・・そ、そんな酷いことになるって言うのかよ!?」
「二人の立場からしたら今のお前の体の事を知っていて、そいつらを自分の手で捕まえたいなんて意地の為に手助けや御膳立てって形を取ったなら、お前の能力ならよく知ってるから信頼してたし大丈夫だと思っていたなんていう美談で済ませる奴もいるかもしれねぇ・・・だがそんな体だからこそ冷静に判断すりゃ警察だとか信頼出来るところに相談すべきだったと言われるのは目に見えてるし、そもそもお前が今そうなったことを考えりゃお前なら大丈夫だなんて考える方がおかしいとも言われるだろう。それともお前は自分じゃない誰かが自分のような目に遭ってお前のようなことを言い出したら、大丈夫だとか成功したなら別に二人の判断は間違ってなかったんだからいいだろうと言えるのか?」
「そっ・・・それ、は・・・その・・・」
荒垣はそこで知っていた場合と知らなかった場合についてを挙げると共に知らなかったならと仮定した上で話をしていき、更に自分から見たならその判断を許容した二人の判断はどう見えるか・・・そう言われた新一は言葉を詰まらせて視線をさ迷わせる以外になかった。そしてその様子に優作達三人は揃って同じように不安そうな表情を浮かべていて、小五郎達三人はその様子に冷めたような視線を向けていた。
「それで知らなかったなら知らなかったでも良くない結果になっていただろうが、まずその時の方が余程まずい結果になるのは目に見えてる・・・その男達を捕まえる為にどれだけの時間がかかるかなんざ分からねぇが、少なくともそんなお前が転がり込んだからその男達の情報が翌日には見付かって捕まえることが出来て、それで元に戻れて大団円・・・なんて都合が良すぎる展開になんかならねぇことくらいは想像はつくし、お前もそんなにあっさり片付く問題じゃねぇとくらいは思ってただろう?それなりの時間がかかることくらいはだ」
「そ、それは・・・確かに、そこまですぐに解決しないとくらいは考えてましたけど・・・」
「じゃあそれなりの時間がかかる事から毛利さんがお前のように名探偵だなんだと持て囃されるようになった後、お前が元に戻った後でこういうわけで毛利さんの事を利用してましたなんて言った上で毛利さんは気付いてなかったって明かしたなら、毛利さん達は何でそれに気付かなかったのかってのもそうだがお前にも気付かないならでずっと毛利さん達を騙してたんだな・・・って言われるのは想像はつかなかったのか?気付かせないのが毛利さん達を巻き込ませない為の最善だと思ったというような言い分だったり、実際気付かせずに終わらせたんだからいいだろうがお前からの言い分かもしれないが・・・その時に騙したお前にもそうだが、騙された側の毛利さん達にはより一層の非難は確実に向けられる。お前がそれでその男達の問題の解決に成功したという成功があるからこそ、尚更に毛利さん達は何をしてたんだと比較で言われる形でな」
「「「「っ!?」」」」
だが更に気付かなかった場合での状況のシミュレーションをしていく荒垣からの言葉の投げ掛けに、新一だけでなく三人は一斉に顔色を青くした。言葉にされればされるほどいかに小五郎達に心無い言葉やらが向けられるのかに関して、否定を返したくても出来ないといった話の中身であった為に。









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