舞い戻った一つの仮面により感情は移ろう

「・・・・・・分かった。話をしよう」
「お、おい父さん!?」
「言いたいことは分かる・・・だがここで言いたくないでごねた所で警察に言われるのもそうだが、以降にもう二度と毛利さん達と関われなくなることは私もそうだが、お前も避けたいだろう・・・新一」
「うっ・・・」
そんな中で優作がとうとう観念したと声を上げ、新一が抗議しようとしたがすぐに反論されて口ごもるしかなかった。だがそこで出てきた部分な蘭が反応する。
「・・・今、優作さんその子の事を新一って言った・・・?」
「っ・・・蘭・・・」
「話は私からしよう・・・まだ私の方が冷静に話せるだろうからな」
怪訝で怪しむよう声に新一の顔が歪むが、優作が自分から話すと切り出す。新一が話すよりいいだろうと。


















・・・そうして優作から新一の身に起こったことについての説明が為された。蘭と遊園地デートに行って別れた後で追った男達に怪しい薬を飲まされて体を小さくされたこと、それで阿笠と話し合った結果として新一はその男達を追いたいけれど立場や背格好から一人で追うには制限がかかるから、言い方は悪いが小五郎を利用してその男達を追うために動くべきだと阿笠が言って新一がそれに賛同したこと・・・だがそれが荒垣の言葉から受け入れられなかったことから、やむを得ずに優作達を呼んでどうにか新一を受け入れてもらうために一芝居を打とうと動こうとしたのだということの説明が。



「・・・というわけです」
「「「「・・・」」」」
・・・そうして体勢としてあまり優作達四人の状態が良くないとなったことから、椅子に四人を各々座らせた上で普段小五郎が座る机の前に小五郎達四人が横並びに立って話を聞くことになった。
そんな中で優作がこれが全てと話を終えたのだが、四人は揃って眉間にシワを寄せて目を閉じて顔に手を当てていた。あまりにも荒唐無稽としか思えない話だったが、それでも新一が本当に新一と証明出来る話を蘭と園子が聞き出したことで新一本人だと分かった事から、この事実を受け入れざるを得ないと言うことに。
「・・・おっちゃん達に何も言わずにそうしようとしたことは謝らせてもらう。でも頼む!俺をここに置いて欲しいんだ!奴らを捕まえる為に!」
そんな姿を見ても・・・いや、見たからこそ新一はもう形振り構わないとばかりに率直にここにいさせてくれと声を上げて頭を下げる。もうここまで来たなら隠す必要などないからと遠慮なく頼み込む形で。
「・・・おい、工藤。お前、自分が何を言ってるか分かってんのか?」
「荒垣さんは黙っててくれ!俺はおっちゃんに頼んでんだ!」
「・・・あぁ?」
「「「「っ・・・!?」」」」
そんな中で一番先に気を取り直して顔から手をどけた荒垣が声をかけるが、部外者に言われたくないと怒声で返す新一に対して・・・地を這うような異様な迫力の込められた低い声が出てきたことに、新一達の側の四人はその迫力に圧されたようにビクリと体を揺らした。
「・・・俺が言ってんのはお前が何を要求してるのか分かってるのかって事だが、それがいかにお前にとっての都合やら気持ちやらを優先したものかってことを考えてなさそうなのかを感じたからそう言ったんだよ。その男達を自分で追いたいからなんてさも自分だけでみたいな事を言っておきながら、その実として表立って動かされることになる毛利さんがどれだけお前の為に動かなきゃならないのかをな」
「な、何でそんな事を・・・」
「事実が明らかになる前だったらお前がどうにかその男達を追うためにも勝手にお前が男達に繋がる何かを掴むため、毛利さんをお前がやってる活動のような形にさせるのが理想だったんじゃねぇのか?警察からこういう事件があるから来てくれと呼ばれたり、この探偵事務所に依頼が沢山来てその男達に繋がるような情報が舞い込んでくることを期待してだ。違うか?」
「た、確かにそうですけど・・・」
「そうして毛利さんをお前の身代わりのような形で有名にしたとして、その後の毛利さんの生活がどう変わるかとかを考えなかったのか?それまで普通の探偵として活動していた毛利さんもそうだが、毛利の生活がお前がいなくなって以降にどうなるかをだ」
「え・・・?」
そうして静かに荒垣が問い掛けの言葉を投げ掛けていくのだが、新一は動揺しつつも二人の事に関してにキョトンとした声を漏らす。









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