舞い戻った一つの仮面により感情は移ろう

「・・・今度は親まで引き連れてここに来たのかよ、博士」
「す、すまん毛利君・・・じゃが軒並み工藤家関連の親戚が都合がつかんと言われ、誰か頼れる人をと言われてワシが頼れるのは毛利君しかおらんかったんじゃ・・・」
・・・そうして再び来た毛利探偵事務所にて、小五郎一人でいた所に訪れた阿笠に新一に共に体格を太らせるように中に着込み、眼鏡をかけて変装用のマスクを付けた似た者同士といったような様相の夫婦といった格好をした優作と有希子。
そんな四人の姿を見た上で話を聞いた小五郎はジト目で返すのだが、阿笠は苦笑いでどうにか食い下がろうとする。
「そうか・・・って風に俺が納得してそのガキを預かるってことにしてーんだろうが、そうは問屋が下ろさねぇ・・・入ってこい!」
「えっ・・・!?」
‘ガチャッ!ガタンッ!’
「がっ・・・!?」
「きゃっ・・・!?」
「なっ・・・!?」
だがそんな反応に冷ややかな表情から一転して小五郎がでかい声を上げて新一が戸惑いの声を漏らした次の瞬間いきなり事務所の扉が勢いよく開くのだが・・・そこから現れた荒垣が瞬時に優作の前に飛び込み腕を掴んで机へと押し込むように叩き付け、同時に小五郎も有希子の腕を掴み自身の元に引き寄せ腕を首元に回り込ませたことに新一もだが阿笠も驚くしかない様子でいたが、そこで荒垣と小五郎の二人はそのまま流れるように顔に手をかける。



‘バリッ!’



「「「「っ!」」」」
・・・そしてそのまま優作と有希子の変装用のマスクはあっさりと二人に剥ぎ取られ、素顔が露出することになり新一達共々唖然としたような様子を浮かべるしかなかった。抵抗する暇も止める暇もない電光石火の行動の結果にただ呆然とするしかなく。
「さて・・・まずは手荒いことをしたことは先に謝ってはおきます、優作さんに有希子ちゃん。けれど先に行動したのはそっちからだから、それに対して報復させてもらったことに関しては・・・謝らねぇよ。こんな風にそこのガキの両親だなんて変装をして俺を騙してここに入れ込ませようとするようなことをされて、何で俺が謝らないといけないんだってしかならねぇからな」
「「「「っ・・・!」」」」
そうしてマスクを外した後で二人を解放した荒垣と小五郎だが、小五郎が手荒いという部分しか謝る気はないと強く・・・それでいて常日頃の小五郎からは考えられない程の冷たい声と表情に、四人は一斉に息を飲むしかなかった。あまりの小五郎の豹変ぶりに。
「・・・終わった、おじ様?」
「あぁ、見ての通りな」
「・・・話には聞いてたけれど、本当に二人は変装して来たんだ・・・」
「えっ・・・ど、どういうこと一体・・・?」
そんな時にまた事務所の扉が開いて園子と蘭が中に入ってきたのだが、蘭がボソリと呟いた中身に新一は精一杯子どものフリをしながら解説を求めるような声を漏らす。
「・・・その前に聞くけど、君は一体誰なの?」
「えっ・・・ま、前にも言ったよ・・・僕は江戸川コナンだって・・・」
「嘘は止めなさい。とっくに調べはついてるのよ・・・工藤家の家系図を調べてみた結果としてどっちの方にも江戸川なんて家は存在していなかったどころか、ならと戸籍を調べてみても『江戸川コナン』なんて存在は影も形も見当たらなかったってことはね」
「「「「っ!?」」」」
蘭がその声に答えるというよりは質問返しの声を視線を細めながら向けると慌てたように『江戸川コナン』と返すが、園子がそれは有り得ないとハッキリ否定を返した中身に四人は揃って絶句するしかなかった。何でそんな家系図だとか戸籍までを調べるのかだとか以上に、そんな普通じゃ有り得ない事をしたのかという驚きに。









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